東京海上日動火災保険など損害保険大手5社は3日、昨年発覚した保険金の大量不払いを受け、社長など計171人の社内処分を明らかにした。
社内処分は社長や保険金支払い、システム・商品開発部門などの関係責任者を対象にしたもので、東京海上日動=役員8人、部長35人▽三井住友海上=役員10人、部長34人▽損保ジャパン=役員12人、部長51人▽あいおい=役員11人▽日本興亜=役員10人。社長の処分内容は報酬1カ月間30%カットと全社同じで、他の役員も報酬1カ月10~20%カット。部長についても一様に厳重注意や始末書の提出だった。
処分理由について各社は「経営責任を明確にするため」と説明しているが、横並びの処分内容については「あくまで当社の判断」などとしている。
また損保ジャパンは昨年発表した過去3年間の不払い調査について、再調査の結果828件約7600万円の追加不払いが見つかったと発表した。他社も再調査を進めており不払い規模はさらに拡大する見通し。各社は同時に保険金支払い部門の人員増強などの再発防止策も示した。
損保業界の不払いは昨年夏に大手全社を含む26社で相次ぎ発覚。自動車保険の代車費用特約など付随契約の部分で多数見つかり、過去3年間で計18万件超、総額84億円超に上った。各社が新商品の開発競争に専念する一方で、支払い体制の整備を後回しにしてきたことが原因だ。
各社は当初「担当者の事務的なミス」が原因などとしていたが昨年11月、金融庁から業務改善命令を受け、責任の明確化と対策強化を迫られていた。
◇処分公表は業界横並び体質
損保大手各社の処分発表は「社長報酬を1カ月3割カット」といった内容に加え、発表日まで同じだった。昨年夏の発覚以来、社長自ら公の場で不払い問題を説明した社がない点でも、足並みがそろっている。不払いへの反省を契約者にいち早く示そうという姿勢にはほど遠く、業界横並び体質をあらためて印象づけた。
各社はいずれも1月13日に、再発防止策などを盛り込んだ業務改善計画を金融庁に提出済み。しかし、発表については「金融庁の精査で計画内容が変わる可能性があるため、正式受理されてから」と先送りした。
ところが、東京海上日動が今月2日「社内処分を機関決定した」と会見予定を明かすと損保ジャパンも即座に追随。日本興亜、三井住友海上も同日夜までに会見方針を固めた。金融庁が各社の計画を正式に受理していない状況は変わっていない。
ただ、あいおいは「会見は責任ある再発防止策を示せる段階で行いたい」と3日は個別取材に答える形にとどめた。