米資産運用会社ジャナス・キャピタル・グループ(NYSE:JNS)の株価をこれまで押し上げてきたマネジメント・バイアウト(MBO)計画はとん挫した。事情に詳しい筋が明らかにした。しかしジャナス株を今売り抜ける投資家は、後に後悔することになるとの予想も聞かれる。
投資家は昨年秋、ジャナスの内部者が同社買収を検討しているとの報道や、事業に上向きの兆しがみられていることを歓迎した。よくあるように、株価上昇で買収コストが高くなりすぎたことが、MBO計画をとん挫させた。
ジャナス株は10月初旬以来、50%強上昇。調査会社トムソン・ファイナンシャルによると、同社の今年の予想1株利益に基づくと、株価収益率は29倍となっている。トムソンの集計によれば、これは資産運用会社株の平均よりも33%近く高い水準で、S&P500構成銘柄の平均の2倍近い。
ジャナス株の先週24日終値は前日比1セント安の22.27ドルと、52週高値をわずか2%下回る水準。時価総額は48億ドルとなっている。
多くの投資家にとって、利益を確定するのに適した時期のようにみられ、実際にそう行動した投資家もいる。しかし一部の投資家は、ジャナスの運用するファンドがさらに高いリターンを実現し、運用資産がさらに増加し、同社の利益が大きく拡大すると予想している。今日ジャナス株を売却すれば、向こう3-5年間で得られる多額の利益を逸することになるとこれら投資家は考えている。
証券取引委員会(SEC)に提出された書類によると、成長株投資を手掛けるコロンビア・ワンガー・アセット・マネジメントは、このところの株価上昇にもかかわらず、10-12月期にジャナス株を1%強取得した。
また、ジャナス株ですでに大きな利益を得ている投資家の一部は、同社株を保有しつづけている。
ジャナスの最大株主で、年初時点で約14%の株式を保有するアリエル・キャピタル・マネジメントのアナリスト兼ポートフォリオマネジャー、フランクリン・モートン氏は「われわれは手を変えていない。MBOに関する観測も寄与したが、株価が上昇したのは、ファンドの成績が好調でファンダメンタルズが改善しているためだ。これは続くとわれわれは予想する」と話した。
ジャナスは、成長株重視の投資スタイルで最も知られているが、同社株はバリュエーションが高めなことにもかかわらず、多くの”バリュー株”ポートフォリオにも入っている。
バリュー株投資のオルスタイン・ファイナンシャル・アラート・ファンドのマネジャー、ロバート・オルスタイン氏は、「われわれ自身、この業界にいるのでよく分かる。パフォーマンスが良い時のてこの作用を理解しているため、われわれはジャナス株を保有している」と述べた。オルスタイン氏のファンドは2003年以来、ジャナス株を保有しつづけている。
ファンドマネジャーらは、資産運用会社の間接費が資産の増加とともに徐々に減少していくことを知っている。ファンド資産の緩やかな増加は、利益率を短い時間で押し上げる。
このいわゆる”オペレーティングレバレッジ”効果は、弱気相場ではジャナスの業績に響いた。ジャナスの運用資産は今年初め時点で1485億ドルと、2000年の3000億ドル強から減少している。しかし、同社をこれまで苦しめてきた力学が一転して追い風となっている。米国株式市場で成長株が回復し、リターンが改善しているためだ。
ジャナスのポートフォリオは、1990年代と比べ、幅広くなっており、同社の運用マネジャーらは株価のバリュエーションにより大きな注意を払うようになっている。これがジャナスの運用するファンドの成績ランキングを向上させた。データ会社リッパーによると、ジャナスのファンドのうち、今月初め時点で過去5年間のパフォーマンスが業界平均を上回っているのは60%以上。1年前は23%だった。
ジャナスは昨年、マネーマーケットファンドを除いた新規資金が20億ドルの純増となった。年間ベースでの純増は2000年以来。