WSJ-ファイザー、06年は売り上げ横ばい見込む

米製薬最大手のファイザー(NYSE:PFE)は、10日に開いたアナリスト向け説明会で、2007年には業績の回復が確固たるものとなると約束した。一部製品の特許失効による影響を相殺して余りあるほど、新薬と既存製品の売り上げが伸びるとしている。

それでも2006年は厳しい1年になる見込み。ファイザーが今回発表した見通しによると、今年の売上高は前期比横ばいにとどまる見込みだ。ジェネリック薬(後発の類似医薬品)との競争激化に加え、医療費抑制を目指す政府や保険業者からの圧力にもさらされている。

ヘンリー・マッキンネル会長兼最高経営責任者(CEO)はこうした課題を認め、「われわれはとりわけ困難な時期に居合わせているが、それも終わりが見えている」と述べた。2006年は6つの新薬発売を予定していることに加え、20億ドルのコスト削減、研究活動の生産性向上で「ファイザー変革に向けたわれわれの努力で重要な1年となる」とした。

しかし投資家はこの発表に失望したようだ。ファイザー株は下落し、10日終値は前日比0.66ドル(2.51%)安の25.68ドルだった。

ファイザーは昨年10月に業績見通しを撤回していた。今回あらためて公表した見通しによると、2006年通期の1株利益は1.52-1.56ドル、売上高は2005年(512億9800万ドル)と同程度を見込んでいる。リストラ費用、ストックオプション(自社株購入権)費用、その他の一時的項目を除いた「調整後」ベースの1株利益見通しは2ドルと、調査会社トムソン・ファースト・コールが集計したアナリスト平均予想の2.04ドルを4セント下回る。2005年通期の実績は2.02ドルだった。

ただ、2007年には増収に転じ、「調整後」ベースの1株利益は2007年と2008年に1けた台高めの伸び率となるとの見通しを示した。また2007年までに年35億ドル、2008年までには年40億ドルの経費節減を実現するとした。

今回の説明会は、業績見通しを撤回して以来高まっていた投資家の懸念を和らげ、新たな成長への戦略を示すことが目的だった。2006年と2007年の見通しを撤回した当時、経営陣は特に主力製品である高脂血症治療薬「リピトール」と鎮痛薬「セレブレックス」の見通しが不透明なことを指摘していた。高脂血症治療薬市場の低迷を受け、リピトールの売り上げは2005年に伸び悩んだ。

今年6月には、米メルク(NYSE:MRK)の高脂血症治療薬「ゾコール」(一般名:シンバスタチン)の特許が失効し、ゾコールのジェネリック版が発売されることになる。これもリピトールにさらなる打撃となるとみられている。セレブレックスの売上高は安全性の懸念が響き、2005年は前期比48%減の17億3000万ドルだった。

ファイザーは一部の主力製品について、2006年は堅調な売り上げを予想している。リピトールの売上高は130億ドルを超えるとみている。2005年は121億8000万ドルだった。またセレブレックスの売上高は20億ドルを超えるとの見方を示した。経営陣は鎮痛薬・抗てんかん薬「リリカ」についても強気で、2006年の売り上げは9億ドルを見込んでいる。前期は2億9100万ドルだった。

ファイザーの米国医薬品部門担当社長、J.パトリック・ケリー氏は今年、米国の医薬品売上高の約21%がメディケア(高齢者向け公的医療保険)から、その他7-10%が米軍・退役軍人の保険給付など、他の政府関連プログラムからもたらされるとみている。2006年からメディケアによる処方せん薬代の給付が始まったのを受け、ファイザーの米国内医薬品売上高のうち、連邦プログラムにカバーされる部分は2008年までに46%程度に高まる見込みという。

説明会でファイザー幹部は、善玉コレステロール(HDL) を上昇させる治験薬トルセトラピブ(一般名)を、リピトールとの配合剤ではなく単独で販売することを検討していると述べた。トルセトラピブは、ファイザーのコレステロール降下剤の製品群を保護する意味で、新薬パイプラインで最も重要とみられている。ファイザーは、トルセトラピブはリピトールとの併用が最も効き目があるとし、これまで強調してきた戦略は、配合剤で販売することだった。単独販売にこだわらず、よりオープンなアプローチをとることにより、トルセトラピブの単独処方や、リピトール以外の薬との併用などの裁量を望む医師の批判を弱めることができる。半面、トルセトラピブを単独で販売すれば、5年後にリピトールの特許が失効した後、その売り上げを維持するファイザーの能力を弱める可能性がある。

ファイザーは、「ファイザー・コンシューマー・ヘルスケア」(PCH)部門をどうするかについて、7-9月期までに決定するとしたい。同社は7日、同部門の売却やスピンオフ(分離・独立)を含む戦略的選択肢を検討することになると発表した。デビッド・シェドラー副会長は、年間売上高約39億ドルの同部門は市場で100億ドル以上の価値がつく可能性があると述べた。同部門の切り売りは選択肢にないとした。

シェドラー副会長は、2006年に少なくとも10億ドルの自社株買い戻しを行う見込みと述べた。しかし、新製品や技術の買収完了が予想を下回った場合、自社株買いの額はかなり増える可能性があるとした。マッキンネルCEOはその後、大型買収はファイザーの戦略にはないと強調した。

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