関西経済人の個人資金ファンド “天使”の支援で初上場

創業期の企業を育てるために関西の経済人が個人資金でつくった“ナニワのエンゼルファンド”の投資先から、初上場企業が生まれた。インターネット関連企業、ドリコム(京都市)で、東証マザーズ上場から三営業日目の十三日、公開価格(七六万円)の四倍を超える初値(三四七万円)をつけた。十七日の終値は五六二万円まで上昇。投資家たちの取り組みが初めて結実したことで、関西で産声をあげる企業への“天使”の支援が今後も広がる可能性が出てきた。
 ドリコムは京都大学の学生たちがつくったIT(情報技術)ベンチャー。創業後の資金需要に応えたのが、関西の経済人の個人資金を集めた「志(こころざし)ファンド」だ。
 同ファンドは平成十三年十一月設立。鐘淵化学工業(現カネカ)元会長の舘糾(たち・ただす)氏や川上哲郎・住友電気工業相談役、寺田千代乃アートコーポレーション社長ら約八十人が出資者で、出資金は全員がポケットマネーだ。
 ファンドはエンゼル証券(大阪市)が管理を行い投資先は現在十数社。ドリコムは上場に必要な売り出し株を確保するため、志ファンドに所有株すべてを手放すよう要請。ファンドが成長期待も大きい企業の全株を手放すことは少ないが、「創業期を支援するという観点から応じた」(細川信義・エンゼル証券会長)。ドリコム株売却による収益は、新たな創業期企業への投資に充てる予定だ。
 舘氏は「お金は返ってこないつもりで出した。リターンの期待よりも、自分が現役時代に築いた人脈やノウハウを、若い経営者に提供できることにやりがいを感じた」という。
 現在、関西には神戸商工会議所主導の「ひょうごエンジェルファンド『魁(さきがけ)』」(十六年四月設立)や、大阪商工会議所主導の「大阪エンジェルファンド『桟(かけはし)』」(十七年十一月設立)など、創業期ベンチャーを育てるファンドがある。エンゼルの投資に成功事例が出たことで、「創業期企業の個人投資家の支援活動が広がれば」(舘氏)と期待感も膨らんでいる。
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 【会社概要】エンゼル
 未上場企業に資金提供する個人投資家。ITベンチャーの集積地、米シリコンバレーで、創業間もない企業を支援する個人投資家を指す言葉として定着した。創業期企業の育成に必要との観点から、米国ではエンゼルに対する税制も整備されている。

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