米ラジオ局運営会社としては中堅のシタデル・ブロードキャスティング(NYSE:CDL)は先週末、ウォルト・ディズニー(NYSE:DIS)のラジオ部門の大部分を27億ドルの現金と株式交換の組み合わせで買収する方向で最終調整に入っていた。これが実現すれば、シタデルは業界3位に躍進し、同社のファリド・スルマン会長兼最高経営責任者(CEO)は注目を浴びる役割を担うようになる。同氏は迅速に、より多くの利益を出し効率化する方策に取りかかるとみられる。
関係筋によると、ディズニーが10-12月期(06年9月期の第1四半期)決算を発表する6日にも、買収合意が発表される可能性がある。
シタデルは1984年、アリゾナ州トゥーソンで、ラジオ局2局で創業した。現在は、ユタ州ソルトレークシティーやテネシー州ナッシュビルなど中都市で200局を運営している。多くの買収を重ね、債務が重くのしかかっていたところ、2001年にニューヨークの企業買収会社フォーストマン・リトルがレバレッジド・バイアウト(LBO、買収先企業の資産を担保とした借り入れによる買収)でシタデルを買収した。フォーストマンは現在、シタデル株の約67%を保有している。
このため、ディズニーのABCラジオの22局とその系列局ネットワークを買収するための交渉では、フォーストマン創業者のセオドア・フォーストマン氏が中心人物となった。ディズニーがラジオ事業の売却先を探し始めて以来、長期にわたる入札でシタデルは、より規模の大きなエンターコム・コミュニケーションズ(NYSE:ETM)と競うことになった。結局、フォーストマン氏の長年の友人でディズニーのCEOであるロバート・アイガー氏は、落札者としてシタデルを選択し、2週間前に大筋で合意した。
ただ、ディズニーは節税のために「リバース・モリス・トラスト」と呼ばれる方法をとっているため、買収条件の最終合意までには込み入った手続きが必要だ。合意条件によると、ディズニーはラジオ部門をスピンオフ(分離)し、シタデルの事業と統合する。シタデル株主は合併新会社の株式49%を、またディズニー株主は残りを保有する。ディズニーは、「ラジオ・ディズニー」とESPNブランドのラジオ局およびそのネットワークを引き続き保有する。
シタデル株の3日終値は、前日比0.13ドル(1.08%)安の11.96ドル。時価総額は約14億ドル。シタデルは、ディズニーから大規模なラジオ事業を取得すれば、株主価値を高め、株式の流動性を高めることができると期待している。
タンザニア出身のスルマン氏は、ラジオ事業からキャッシュフロー(現金収支)を引き出す才能に長じていることで知られる。だが、「コストカッター」のレッテルをはられることには強く抵抗している。同氏はまた、シタデルの地方局で地元タレントを育てることにも注力した。1年以上前には、アクの強い個性で知られる人気パーソナリティーのハワード・スターン氏に代えて地元タレントを採用した。ただ、その効果はまちまちだ。
シタデルは、自社よりはるかに規模の大きなディズニーのラジオ事業を統合する当たり、試練に直面するとみられる。放送エリアが重複していないため、管理部門やオフィスの統廃合で経費を節減することができないからだ。
ディズニーのラジオ部門の従業員は合併について神経質になっているが、同部門担当社長のジョン・ヘアー氏は全社員あての電子メールで、同社を取り巻く不透明感は認識しながらも、業務に専念するよう促したという。