米証券大手ゴールドマン・サックス・グループ(NYSE:GS)が14日発表した12-2月期(2006年11月期第1四半期)決算は好調なものだったが、これから決算発表を迎える残りのウォール街の証券会社にとっては、これがある種の基準になった。
合併・買収を助言する投資銀行業務が最近は活況だったが、加えて株式や債券などのトレーディング業務を囲む環境も好条件が続いて、これらが増益の大きな要因となった。しかし、これらの条件はこれから決算発表を控えた、ゴールドマンのライバル会社各社にも、同様にあてはまるかもしれない。
ゴールドマンが発表した12-2月期決算は、純利益が過去最高の24億8000万ドルで1株利益は5.08ドルだった。前年同期はそれぞれ15億1000万ドル、2.94ドルだった。また、前四半期の9-11月期はぞれぞれ16億3000万ドル、3.25ドルだった。
1株利益の市場予想は3.29ドル。ゴールドマンの業績はこれを54%、2ドル近くも上回った。収入指標の純営業収益の方は、前年同期の64億1000万ドルから103億4000万ドルに61%増加した。純営業収益の市場予想は71億9000万ドルだった。純営業収益は営業収益から金融費用を除いたものだが、米証券業界では純営業収益の方を重視することが多い。
他のウォール街の各社と同様、ゴールドマンは、自己勘定や顧客の投資でこれまでよりも大きなリスクを取った。そしてもっと多くの利益を勝ち取った。
12-2月期のゴールドマンのVARは、前四半期の6500万ドルよりも、前年同期の8000万ドルよりも大きな9200万ドルだった。VARは市場が悪化した場合、被る可能性がある平均1日当たり損失を示す数字だ。
「9200万ドルはこれまでで最高のVARだ。しかし、今後これ以上の数字があるかもしれない。ゴールドマン・サックスは日々成長しており、業務が拡大するにつれて、場所も増え、チャンスも増える」。デビット・ビニア最高財務責任者(CFO)は語った。
ベア・スターンズのアナリスト、ダニエル・ゴールドバーグ氏は、ゴールドマンの決算をみた投資家は、他の証券会社も市場予想を軽々と破るとみているはずだと述べた。また、クレディ・スイス・グループの証券業界担当アナリスト、スーザン・カツケ氏は、ゴールドマンの決算を見て「ただただ巨大」と語った。
ライバルのリーマン・ブラザーズ・ホールディングズ(NYSE:LEH)とベア・スターンズ(NYSE:BSC)も今週決算を発表する予定だ。
14日のゴールドマンの終値は、8.70ドル、6.2%高の149.42ドルだった。12-2月期の好業績によってゴールドマンは取引時間中には新52週高値149.50ドルをつけたが、それだけでなく、同業他社の株価も押し上げた。しかし、証券株はここ最近大きく上昇したことから、投資家の中にはこれら証券株に、あと、どれだけの力が残されているかを懸念する声もある。ダウ・ジョーンズ金融株指数が22%となったのに対しゴールドマンの株価は35%高となった。
最近のトレーディング取引や合併買収顧問業務手数料の伸びから、証券会社の好業績はある程度予測されていた。この顧問業務は今年はとりわけ活況だった。投資銀行部門は前年同期から65%増加して14億7000万ドルとなり、四半期業績としてはほぼ6年ぶりの高水準だ。
他の部門でも、トレーディング・自己勘定投資部門の純営業収益は57%増加して69億ドルとなった。この部門の中では、株式トレーディング業務が四半期としては過去最高の24億5000万ドルの純営業収益を記録した。前年同期比では58%増だ。債券・通貨・商品(FICC)業務の純営業収益は50%増の37億4000万ドルとなった。これも過去最高だ。資産運用部門の純営業収益は、前年同期比99%増となった。
またビニアCFOはアナリスト向けの決算説明会で、三井住友フィナンシャルグループへの巨額投資について、売却を始める可能性を示唆した。これまで三井住友への投資は着実に増やしてきたが、これを減らす方向に変更することが賢明な選択かもしれない、と同CFOは述べた。三井住友への投資から来る評価益は4億500万ドルだったと発表した。
また同社は、取締役会が四半期配当の増配を決定したと発表した。これまでより40%増やして35セントにすると発表した。4月25日現在の株主名簿に記載されている株主に対して5月25日に支払われる予定だ。