WSJ-メキシコのフェムサ、足踏みする米ライバルを尻目に業績好調

メキシコのフォメント・エコノミコ・メヒカーノ(フェムサ)(NYSE:FMX)の株式を保有している投資家はご機嫌だろう。中南米最大の飲料メーカーであるフェムサは、「テカテ」、「ドス エキス 」、「ソル」などのブランドのビール売り上げが伸び、業績、株価パフォーマンスとも好調なためだ。

一部のウォール街関係者は最近、アンハイザー・ブッシュ(NYSE:BUD)、モルソン・クアーズ・ブルーイング(NYSE:TAP)などビール大手の株価に注目するようになっている。1年以上も全体を下回るパフォーマンスが続き、割安となっているとの見方からだ。

しかし調査会社トムソン・ファースト・コールが集計したアナリストの平均予想によると、アンハイザーの2006年1株利益は2.37ドルと、2005年の2.43ドルから減少する見込み。2007年には2.58ドルに回復するとみられている。他の米ビール大手も業績見通しは同様に厳しい。米国やその他先進国では、ビールよりも、ワインや蒸留酒など他のアルコール飲料を好む傾向が強まっていることが背景にある。

対照的に、中南米を代表するビール大手で、ソフトドリンクや食品事業も手掛けるフェムサの今年の1株利益は4.97ドル、07年は5.83ドルが見込まれている。05年は4.28ドルだった。

フェムサの株価は過去2年間で2倍近く上昇している。フェムサが、成長する新興市場のビールメーカーを狙った買収のターゲットとなる可能性があるとみる投資家もいる。ニューヨーク証券取引所に上場しているフェムサ株の16日終値は前日比1.43ドル(1.59%)高の91.32ドル。

モルタル・ロック・キャピタル・マネジメントのランディー・サラック氏は「フェムサは他のビールメーカーよりも高成長を実現しており、株価は他社より割安だ」と指摘。「40歳未満の人口が増えているため、メキシコは魅力的だ」と述べた。運用資産4000万ドルのヘッジファンドであるモルタルは、フェムサ株を保有している。

実際、いくつかの尺度でみると、フェムサ株はこれまでの大幅上昇にもかかわらず、割高にはみえない。向こう12カ月間の予想1株利益に基づいた株価収益率は約17倍。アンハイザーの約18倍よりも低く、市場全体と同程度だ。モルソンは約16倍。

一方、フェムサのEV/EBITDA倍率(企業価値が利払い前・税引き前・減価償却前・その他償却前利益の何倍かを表す指標)は約7倍。UBS証券の2006年予想に基づくと、これは世界のビール大手の平均と比べ、約24%割安な水準。フェムサは株価売上高倍率でみても同業他社より割安で、バランスシートの改善が続いている。

フェムサのように新興市場で事業を手掛ける企業は通常、株価収益率が低めとなる。現地通貨安による影響など、その地域のリスク要因を反映するためだ。

しかしエコノミストらは、メキシコ経済が今年、3.5%程度の成長を達成すると予想している。原油高が経常赤字削減に寄与していることが追い風要因の1つ。また、メキシコおよび中南米全体で経済活動の拡大が続くとの見方を反映し、メキシコ株式市場は今年に入ってから大きく上昇している。

中南米は米国と比べ、人口構成で若年層が多いことが、フェムサの将来を明るくしている。米国内のヒスパニック住民にターゲットを絞った効果から、フェムサの米国向けビール輸出は昨年7.5%増加した。これに対し、業界誌ビア・マーケッターズ・インサイトによると、アンハイザーの05年ビール売り上げは2%減少した。中南米で成長が減速しても、南西部で伸びているフェムサの米国売り上げは痛手を受けないとみられている。

フェムサはビール以外の事業も好調だ。46%出資するコカ・コーラ・フェムサ(NYSE:KOF)は昨年、フェムサの利益の約56%を占めた。コカ・コーラ・フェムサは、中南米最大、世界では2位のコカ・コーラボトラー。メキシコ、ブラジルでこのところ売り上げが伸びている。

このほかにもフェムサは、メキシコ最大のコンビニエンスストアチェーン「Oxxo」を展開している。Oxxoは昨年、フェムサの売り上げの約27%、利益の8%を占めた。飲料事業と比べ、利益率は低いが、昨年10-12月期の既存店売上高は9%近く伸びた。

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