WSJ-モルガン・スタンレー、米国・欧州の調査部門で人員削減を計画

米証券大手モルガン・スタンレー(NYSE:MS)は米国と欧州の調査部門の従業員を50-60人削減し、より高い成長をみせているアジアや新興市場のカバーに人的資源の一部を移すことを計画している。同社の計画について詳しい筋が明らかにした。

同筋によると、モルガンの調査部門の従業員数は全世界で800人で、削減するのはこの7%に相当する。再編の一環として、モルガンは”持続的”調査を減らし、より”独特”で付加価値の高いリポートを出すことに注力する計画という。

ジョン・マック最高経営責任者(CEO)は昨年11月、新興市場を含むいくつかの分野へ事業を拡大する方針を示していた。またモルガンは、さまざま種類の資産に投資する顧客のニーズに応えるため、株式と債券の調査を統合した。

しかしモルガンを含む証券大手が、調査部門の人員削減に動いている背景には、取引所に直接アクセスする、コストが割安な電子取引に大手機関投資家がシフトしていることもある。こうしたシフトにより、3年間に及ぶ株式の回復相場にもかかわらず、大手証券の手数料収入は圧迫されている。

モルガンの法人営業・トレーディング部門の共同ヘッド、ジャーカー・ヨハンソン氏は2月9日、機関投資家との会合で、手数料収入が減少しているため、一部の株式事業は「リストラ」の必要性に直面している、と述べている。

ヨハンソン氏はこの会合で、手数料率が近年、米国で年18%、欧州では年13%減少していることを示すスライドをみせた。また、ある大手機関投資家がわずか1年間で取引の大半を、割安な直接アクセスの電子取引に移行したことを示すスライドもみせた。

大手証券幹部らによると、機関投資家が証券会社の法人トレーディングデスクに株式の売買注文を出すときに支払う手数料は1株当たり4、5セント程度。これに対し、取引所などへ直接アクセスする電子取引では1セント以下で売買できるという。

手数料の減少に加え、利益相反問題のために、投資銀行部門の引受契約獲得でアナリストが果たせる役割に2003年から制限が設けられたことから、大手証券は調査にかかわる支出を減らしている。サンフォード・バーンスティーンによると、2000年は業界で27億ドルだったが、2003年と2004年には約17億ドルに減少したという。

手数料は1975年に定率が廃止されてから、減少傾向にあった。1990年代には、企業調査のコストに投資銀行部門の収入を充てていたことで利益相反の批判を招いた。このため、「大手証券は調査にかかるコストをどのようにカバーするか苦心している」(独立系ストラテジスト、ゲイル・ダダック氏)。

削減の対象となるモルガンの従業員の一部は、投資銀行、資産運用など他の部門に移るもようだ。しかし人員削減はモルガンの調査に対する評価低下につながる恐れがある。インスティテューショナル・インベスター誌によると、モルガンの株式調査はリーマン・ブラザーズ・ホールディングス(NYSE:LEH)、メリルリンチ(NYSE:MER)に次ぐ第3位の評価を受けている。

ゴールドマン・サックス・グループ(NYSE:GS)などはすでに調査部門の人員削減を実施している。ゴールドマンは2000年から2005年の間に調査のランキングが5位から9位に落ちた。

モルガンのマックCEOは、ヘッジファンド、プライベートエクイティ、新興市場など、今後拡大する分野をいくつか挙げているが、同時に、コスト削減が可能な分野を探ることも管理職に求めている。

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