米ゼネラル・モーターズ(NYSE:GM)は22日、GM、経営再建中の自動車部品大手デルファイ(DPHIQ)、全米自動車労組(UAW)が、従業員の早期退職プログラムについて合意に達したと発表した。これはGMにとって大きな前進ではあるが、20年近くにわたりアジアや欧州のライバル各社に米国でのシェアを侵食されてきたことへの抜本的な対策が終わるわけではない。
合意によると、1人当たり3万5000-14万ドルの早期退職手当の資金をGMが用意する。早期退職の対象者はGMとデルファイを合わせ最大11万8000人で、GMで働く全UAW組合員10万5000人を含む。労働問題の専門家によると、この早期退職プログラムは米企業史上最大規模。GMでは事実上、同社が米自動車市場で優位にあった1970年代に入社した従業員がこのプログラムの対象となる。
数万人の従業員が退職することは、退職者の報酬と手当にかかる費用を、損益計算書から年金会計に移すことを意味する。これがGMの業績改善につながり、株主の利益になるとみられる。
GMの株価は、合意発表を受け一時22.68ドルまで上昇したものの、その後は伸び悩み、終値は前日比0.01ドル(0.05%)高の22.01ドルとなった。合意に向け大幅に前進したと最初に報じられた日の前日8日の株価をわずかに上回る水準。
どのくらいの従業員が早期退職に応じるかは不透明だ。GMは、08年までに3万人を削減するという目標を達成するために、今回の合意による早期退職の応募が大いに寄与することを期待している。デルファイは、時間給従業員1万3000人の追加削減を目指している。
GMによると、UAW組合員10万5000人のうち約3万6000人が、勤続30年以上を対象としたプログラムに直ちに応募でき、その他の2万7000人が3年以内に対象となる。デルファイでは、UAW組合員2万4000人のうち約6000人が直ちに応募できる。これらの対象者は、一時金3万5000ドルを受け取るほか、年金と退職者医療保険を満額受け取ることができる。勤続30年に満たない応募者には、年金を減額して支給する。
デルファイの最大5000人は、GMに移り、直ちに退職するか、GMでの勤務を続けるかを選択することができる。
こうした大量の人員削減により、GMの年金債務は大幅に圧縮される。年金関連支出も減るため、利益を押し上げる効果がある。ただ、早期退職プログラムに応募する人数がわかるまで、年金債務をどの程度圧縮できるかは試算できないとしている。
GMの広報担当者ダン・フローレス氏によると、早期退職の応募期間は45日間。5月末までには早期退職を開始するとみられるという。
主要格付け会社は、「早期退職プログラム関連の費用が、現在投資不適格水準にあるGMの格付けに直ちに影響を与えることはなく、また今回の合意そのものが格付けを引き上げる要因にもならない」としている。GMが北米での業績を改善できるかどうかや、デルファイでストライキが発生する恐れが依然としてあるという事実に着目しているためだ。