証券大手の日興コーディアルグループが米投資ファンドのローンスターとの間で、傘下の東京スター銀行を買収する方向で交渉に入ったことが二十四日明らかになった。他の証券大手二社が独自の銀行戦略を展開する中で、日興は東京スターの顧客に投資信託などの金融商品を提供し、貯蓄から投資への流れを加速させたい考えだ。ただ、証券業界からは「大きな効果は見込めない」との声も上がっており、交渉は曲折も予想される。
日興は価格面の交渉を詰めたうえで、発行済み株式の三分の一超の取得を目指して株式公開買い付け(TOB)を実施する見通し。実現すれば証券会社による初の銀行買収となる。東京スターは、東京を地盤とする第二地銀で平成十一年に経営破綻(はたん)した東京相和銀行が前身。ローンスターが傘下に収め、平成十三年に営業を開始した。
証券界では、野村ホールディングスが野村信託銀行を活用して銀行業への本格参入を検討している。大和証券グループ本社は、三井住友フィナンシャルグループと提携して法人向け業務を手がける大和証券SMBCを設立。三井住友FGの顧客基盤を活用し、実績を上げている。メガバンク系のみずほ証券や三菱UFJ証券も大手証券を追撃する構えをみせている。
これに対し、米シティグループと法人分野で提携する日興は、東京スター買収で新たに個人分野を補強したい考え。具体的には、投信の銀行窓販が広まるなか、日興アセットマネジメントの投信を東京スターの顧客に紹介するといったことがあげられる。
クレディスイスファーストボストン証券の柿元竜二リサーチアナリストは、東京スターの預金量が一兆三千億円程度にとどまる点を指摘し、「日興の業績水準を大きく引き上げる要因になるとは考えづらい」と分析。「銀行との業務提携という選択肢もあった」として、一千億円超にのぼる買収総額に見合う効果を得られるかについて疑問視している。
さらに、交渉内容が事前に公になったことで業界関係者からは「交渉は一時、中断される可能性もある」(法人向け証券会社)と交渉の先行きを懸念する声も漏れている。