米ナスダックを運営するナスダック・ストック・マーケット(Nasdaq:NDAQ)は30日、英ロンドン証券取引所(LSE.LN)への42億ドルでの買収提案を撤回した。長い歴史を誇るLSEの買収を目指しながらも断念した案件は、1年半の間で3件目となる。
ナスダックは、一定の条件の下で新たな買収提案をする権利をまだ保持しているものの、欧州への事業拡大を目指していたボブ・グレイフェルド最高経営責任者(CEO)にとっては予期せぬ後退だ。
LSE取締役会は今月、ナスダックからの買収提案を拒否した。その後双方は連絡を取り合っていないが、ナスダック幹部はLSEの一部主要株主とロンドンで会った。LSEの広報担当者はコメントを避けた。
LSE株の30日終値は、前日比76.50ペンス(6.83%)安の10.435ポンド。ナスダックは同1.74ドル(4.16%)安の40.11ドル。その後の時間外取引では上昇に転じ、40.21ドルで取引されている。
どのような条件であっても、ナスダックとLSEが合意すれば、技術関連費用が大幅に節減できるうえ、ナスダックへの外国企業の上場が促進される。ただ、今のところはハードルが高すぎる。どのような条件にしても外国企業との合併・買収(M&A)については最近、政治家や規制当局の目が厳しくなっている。さらに、LSE経営陣にとっては、計画どおり株主に現金を還元する方が重要だった。
事情に詳しい筋によると、ナスダック幹部も、LSE買収金額が高くなりすぎることを次第に不安に感じるようになっていた。ナスダックが10日に1株当たり9.50ポンド(16.52ドル)での買収提案を発表すると、LSEの株価は11ポンドを超える水準に急騰した。ナスダックは最大15ポンドを支払わなければならなくなるとみる向きもあった。この水準になれば、数年にわたりナスダックの財務に影響を及ぼすことになる。
ナスダックは、LSE取締役会が翻意することや、第三者がLSEに買収提案することなどがないかぎり、今後6週間は新たな買収提案をしない方針を表明した。
同筋によると、ナスダックはLSE経営陣との論争を長引かせたくなかった。さらに市場関係者によるとナスダック、買収提示額を引き上げるためにはLSEの財務について、より詳細な情報を得たいと考えている。
LSE買収を目指す動きは、2004年12月、ドイツ取引所(DB1.XE)が約14億ポンドでの買収を提案したのが最初だった。LSEはドイツ取引所からの提案を2回拒否し、その後ドイツ取引所は株主からの買収断念要請に応じた。05年後半には、オーストラリアの投資銀行最大手であるマッコーリー銀行(MBL.AU)がLSEの時価総額を下回る15億ポンドでの敵対的買収を仕掛けた。LSEはこれも拒否し、その後マッコーリーは買収を断念した。
今後LSEへの買収提案があるとすれば、友好的な提案になる可能性が高い。LSEにとって、何らかの形でユーロネクスト(24151.AE)と提携するのが合理的だとする見方は依然としてある。
ユーロネクストは現在、ドイツ取引所との合併交渉について検討している。ドイツ取引所は30日夜、「当社監査役会はユーロネクストとの合併交渉を提案することを承認した」との声明を発表した。ユーロネクストの広報担当者は、この声明について、またナスダックによるLSE買収提案撤回について、コメントを避けた。事情に詳しい筋によると、ユーロネクストとドイツ取引所の株主は両社の提携に賛成しているが、ユーロネクストのジャンフランソワ・テオドールCEOが望む選択肢のようには思われないという。
関係筋によると、ユーロネクスト幹部は数週間前からLSE・ドイツ取引所両社の幹部と会談を重ねているものの、目立った進展はないという。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)を運営するNYSEグループ(NYSE:NYX)がLSEに買収提案することも考えられる。ただ、NYSEグループのジョン・セインCEOはNYSEのデリバティブ(金融派生商品)取引事業の拡大を最優先課題に掲げているが、LSEはデリバティブ取引を扱っていない。一方、ユーロネクストは大規模なデリバティブ市場を抱えている。