住宅ローン金利の上昇基調が強まってきた。メガバンクなど各銀行は三十一日、四月の住宅ローン基準金利をほぼすべての商品で引き上げると発表した。三月九日に日銀が量的緩和策を解除して市場金利が上昇傾向を示しており、収益を確保するのが狙い。景気回復を背景にした「金利政策の復活」の影響が個人の利払い負担の増加として表れ始めた格好だ。その一方で預金金利の引き上げはまだまだ小幅にとどまっており、預金者にとってメリットは実感できていないのが現状だ。
三菱東京UFJ銀行とみずほ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、住友信託銀行は、四月の住宅ローンの基準金利を当初二年固定型や同十年固定型で0・05-0・25%引き上げる。また、最長三十五年の固定金利も引き上げられ、みずほ銀で2・95%、三菱東京UFJ銀と三井住友銀は2・98%とする。
大手銀行の基準金利引き上げは三月分に続いて二カ月連続で、この間の上昇幅は0・3-0・4%程度。こうした住宅ローン金利が引き上げられるのは、量的緩和策の解除で市場金利が上昇傾向にあるためだ。
三十一日の東京銀行間取引金利は一年物で約0・26%。量的緩和策解除から約三週間で約0・1ポイント上昇した。また、長期金利の指標である十年物国債の流通利回りも三十日に一時1・8%台をつけるなど、量的緩和策解除後に0・2ポイント程度上昇している。
市場金利の上昇は、銀行にとって調達コストの上昇につながるため、「利益を確保するには住宅ローン金利も上げざるを得ない」(大手銀)という事情がある。
しかし、その一方で、市場金利に連動して決められるはずの預金金利の引き上げは遅れている印象が強い。
大手行は三月中旬以降、相次いで定期預金金利の引き上げを発表している。ただ、その水準は一千万円以上の大口定期預金の十年物で年0・55%と0・3ポイント程度の上昇にとどまっている。四日まで募集している個人向け国債(五年物、固定金利)の利回りが年1・01%であることを考えれば、魅力は少ない。
また、普通預金は依然として0・001%という超低水準に据え置かれたままだ。業界内には「日銀がゼロ金利を解除すれば、普通預金金利も間髪入れずに引き上げる」(メガバンク幹部)との声もあるが、ある大手行関係者は「引き上げが他行より早すぎれば、預金が集まりすぎて支払金利が増える懸念もある」と及び腰だ。
ただ、大手行の十八年三月期決算は、連結最終利益が一兆千七百億円に達する見込みの三菱UFJフィナンシャル・グループを筆頭に軒並み好業績が予想されている。住宅ローン金利の引き上げが先行した場合には銀行に対する「もうけすぎ批判」の再燃は確実だ。