三井住友銀に一部業務停止命令、中小企業取引への影響避けられず

金融庁は27日、三井住友銀行が融資先企業に金利スワップを無理に購入させていたのは独禁法違反の優越的地位の乱用にあたるとして、法人顧客に対する金利系デリバティブ商品の販売など一部業務の停止を命令した。優越的地位の乱用で銀行が業務停止命令を受けるのは初めて。行政処分により、中小企業取引への影響は避けられなさそうだ。
 同庁は5月15日から6カ月間、法人営業部で金利系デリバティブ商品を販売しないよう命じたのに加え、同日から1年間、法人営業部の新設も禁じた。法人営業部は地域の法人向けの取引拠点で、全国に194拠点ある。
 同商品の販売をめぐって公正取引委員会は昨年末、同行が融資先の中小企業4社に対して優越的地位を利用し、融資の条件として金利スワップを購入するように要請したと認定し、排除勧告を行っていた。さらに三井住友銀行が金融庁に報告したその後の調査で、2001年から04年までに販売した金利スワップなどの商品で、優越的地位の乱用やその懸念がある事例が68件あることが分かった。
 同庁はこのような販売を繰り返した背景に、法令順守よりも収益獲得の態勢が常態化していたことがあるとみて、行政処分に踏み切った。同時に、内部管理や法令順守態勢の確立のため、業務改善命令を発動し、6月2日までに業務改善計画を提出するよう命じた。一連の問題にかかわった役職員の責任の所在も明確化するよう指示した。
 <中小企業取引で影響、法人向け金利デリバティブは年間400億円の収益> 
 三井住友銀は同日、独禁法違反についての社内調査の結果を発表した。金利スワップ販売で68社で優越的地位の乱用、またはその懸念がある事案があったほか、説明不足などで法的責任を問われかねない事案が181社であった。
 同行は公取委の勧告を踏まえ、特別調査委員会を設置して金利スワップの契約先1万8162社のうち2200社について調査を行っていた。再発防止策の方針も公表し、独禁法順守の取り組みの強化や、法人営業部での金利スワップの販売体制の見直し、顧客本位の営業体制の整備などを掲げ、金融庁に提出する業務改善計画にも盛り込む。
 記者会見した奥正之頭取は今回の行政処分の影響について、「信頼を失うというレピテーション・リスクを抱え、インパクトは小さくない」と語った。同行の05年度のデリバティブ取引全体の業務粗利益は約1000億円あるが、このうち金利系が約50%でそのうち法人業務部門が約400億円を占める。奥頭取は「半年間の業務停止で、約200億円の収益のインパクトが出てくる」との見通しを明らかにした。また、法人営業部の新規出店の停止については「1年間(の停止)とはいえ痛手は痛手だ」と述べた。
 一方、当時の経営トップだった西川善文前頭取の責任問題については、「当時の経営陣に責任がないということにはならないと思っている」との考えを示した。
 問題の背景に収益至上主義が指摘されたが、奥頭取は「(金利スワップは)時価会計上の収益をアップフロントで上げられ、業務推進をする上で魅力。それだけに、もっと自制すべきだったと考えている」と述べた。さらに「収益目標を持つのは普通、広く一般で行われており、それ自体を否定することにはならない」と述べ、ノルマとの関係を否定した。
 金利スワップは変動金利で融資を受けている企業が、これとは別に同行から変動金利を受け取り、固定金利を支払う契約を結ぶことで、金利上昇リスクを回避させることができる商品。

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