全日本空輸(ANA)が、ホテル子会社の譲渡を含めたホテル事業の再編を検討していることが三十日までに明らかになった。世界最大級の英国系ホテルグループ、インターコンチネンタルグループなどが譲渡先として浮上している。
ANAは、全額出資のホテル事業子会社、全日空ホテルズ&リゾーツが中心になり、国内三十三カ所、海外二カ所の計三十五カ所でホテル「全日空ホテル」を運営している。
ANAは、このホテル子会社の発行済み株式の過半数を譲渡する方向で、ホテルチェーンとの交渉を続けている。事業全体の売却となれば、総額は一千億円規模になるとみられるが、部分売却などの可能性もある。「全日空(ANA)ホテル」という名称を残す案も浮上しており「交渉の行方は流動的」(ANA関係者)という。
実現すれば、ANAはこの売却で得た資金を国際物流事業の強化やこれと連動した貨物専用機の調達費用などに充てるものとみられる。
インターコンチネンタルグループは、「インターコンチネンタル」のほか、買収した「ホリデイ・イン」などのブランドを冠するホテルを世界の六十以上の国や地域で百五十カ所以上展開している世界最大級のホテルチェーン。
航空業界で勝ち残りに向けた周辺事業の整理を進め、本業に集中しようとするANAとアジアでの事業拡大を模索するインターコンチネンタルなどとの思惑が一致。ホテル事業の譲渡に向けた調整に入ったものとみられる。全日空ホテルは、ANAの海外進出と連動し、一時は世界規模でホテルチェーンを形成したが、現在は国内を中心とした店舗展開にシフト。採算性を重視した運営を続けている。
一方のインターコンチネンタルは、旧西武セゾングループの傘下に入ったことでも知られる。買収や合併を繰り返して成長してきたが、近年ではオーストラリアでチェーンを売却するなど、採算性を考慮したチェーンのスクラップアンドビルドを進めている。
中国に照準を合わせていることでも知られ、今後五年間に中国内で運営するホテルを百店舗にまで拡大するとみられている。ANAホテルは、中国には一店舗しかないが、ANAは中国以外の航空会社としては最も中国路線に熱心な企業の一つで、中国内での知名度も高い。