厚労省「黒字では減額認めぬ」
NTTグループ六十八社は一日、退職者に対する企業年金給付額の減額を認めないとした厚生労働省の措置を不服として、国を相手取り、処分の取り消しを求める行政訴訟を東京地裁に起こした。NTTでは「法令の解釈適用に誤りがあると考えられる」と申請却下の取り消しを求めている。これに対して厚労省も「減額を認めるほど経営は悪化していない。安易な減額は認められない」として全面的に争う構えをみせており、受給者保護か経営の自由度拡大かをめぐる異例の行政訴訟に発展した。
NTTは厳しい経営環境を理由に、一昨年四月に現役社員の将来年金受取額の減額につながる制度改正を実施。それに合わせて退職者にも給付額の減額を求めた。最終的に厚労省が給付減額の条件として定めている受給者の三分の二以上の同意を得て、昨年九月に同省に減額を申請した。
しかし、NTTは黒字決算が続いていたため厚労省は「経営状況の悪化とは債務超過である場合に限られる」として今年二月に申請を却下。
NTTはこの点について、「関係法令の趣旨や文言に反した過度に限定的な解釈適用を行って不承認とした」として行政訴訟に踏み切った。黒字についても大規模なリストラの結果であり、固定電話を中心に収益環境の悪化には歯止めがかかっていないとしている。
和田紀夫社長は三月の記者会見で「OB社員に対してわれわれの困難性を訴え、90%近い方々から同意書を得ている」と語り、厚労省の処分に不満を表明していた。
一方、厚労省は減額の申請を受けた後、NTTの経営状況について総務省と協議。その結果、グループの中心である東西電話会社が平成十四年度以降、黒字決算であることなどから、「企業の存立にかかわるような経営の悪化は認められない」と判断したという。
さらに退職者の三分の二以上の同意を取り付けたことに対しても「手続きの一つにすぎず、減額を認めるための要件ではない」と反論する。
退職者に給付される企業年金は「実際に生活の基盤になっており、原則減額すべきでない」というのが厚労省の主張。そのうえでやむを得えず減額を認める場合として(1)企業の経営状況が著しく悪化(2)掛け金額が大幅に上昇し、企業が掛け金を拠出することが困難な場合-を挙げている。
厚労省では裁判の場でもこうした主張を繰り返し、処分の妥当性を主張していく見通しだ。