WSJ-マスターカード、IPO成功もサッカーW杯費用が懸念要因

クレジットカード大手の米マスターカード・インターナショナル(NYSE:MA)が25日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場した。同社40年の歴史で初めて公開企業となり、株主は、年内の同社の財務内容の浮き沈みに備えなければならなくなる。

同社は、マスターカードブランドのクレジットカードやデビットカードを発行している金融会社に多額の奨励金を支払っているほか、来月開幕するサッカーのワールドカップ(W杯)ドイツ大会に関連して多額の広告・マーケティング費用をつぎ込む。さらにカナダに設立する慈善団体に4000万ドルを拠出する予定だ。

同社はすでに、2006年通期は赤字になる可能性があるとの見通しを示しているほか、今月、証券取引委員会(SEC)に提出した書類では「4-6月期には純収入の伸びに大きなマイナスの影響を受ける公算が大きい」としている。さらに、手数料引き上げに反対する加盟店が同社を相手取り、反トラスト(独占禁止)訴訟を起こしている。こうした法的問題は、年内に解決する見込みはない。

ただ投資家は25日、短期的な見通しはほとんど無視していた。同社の株式46%を対象とした新規株式公開(IPO)では、直前に投資家の関心の度合いにやや不安が生じたものの、需要は強かった。公開価格39.00ドルのところ、40.30ドルの初値がつき、終値は5.70ドル高の46.00ドルとなった。その後の時間外取引でも一段高となり、46.50ドルで取引されている。

モーニングスターのアナリスト、ライアン・バチェラー氏は、マスターカード株には80ドルの価値があるとしている。

公開価格39ドルは、予想レンジ40-43ドルを下回る水準だったが、それでもIPOで24億ドルを調達した。これは、ゼネラル・エレクトリック(NYSE:GE)の保険子会社だったジェンワース・ファイナンシャル(NYSE:GNW) が04年5月にIPOで29億ドルを調達したのに次ぐ規模。

24日に上場したインターネット電話サービス会社のボネージ・ホールディングス(NYSE:VG)は、初日の終値が公開価格17ドルから12.6%安の14.85ドル、翌25日もさらに12%下げ13ドルで取引を終了し、IPO市場を当惑させていた。だがマスターカードが堅調な値動きをみせ、やや安心感をもたらした。

資金力のあるライバルとの厳しい競争に直面しているボネージと同様、マスターカードもビザUSAと極めて厳しい競争関係にある。両社とも、自らはカードを発行せず、決済ネットワークを提供することで収入を得ている。多くの金融会社に株式を保有されている両社が、自社のカードを扱う金融会社の奪い合いを続けている。

マスターカードは4月、1-3月期の総収入の23%を奨励金に充てていることを公表した。前年同期は19%だった。

ソレイユ証券のアナリスト、クレイグ・マウラー氏は25日、マスターカードの投資判断を「バイ」、株価目標を50ドルとした。ただ、W杯の主要スポンサーである同社のW杯関連の支出についてやや懸念している。同社は支出の規模を明らかにしていない。同氏は広告・マーケティング費用について、1-3月期の1億8300万ドルから4-6月期には2億5000万ドルに増えると予想している。

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