WSJ-アルセロール、ロシアのセベルスタリとの株式交換を26日にも発表
大手鉄鋼メーカーであるルクセンブルクのアルセロール(5786.FR)は26日にも、自社の株式約3分の1をロシアの同業セベルスタリ(CHMF.RS)の過半数株式と交換する75億ユーロ(96億ドル)強相当の取引を発表する可能性がある。関係筋が明らかにした。
アルセロールは、オランダのミタル・スチール(NYSE:MT)による227億ユーロ相当の敵対的買収を阻止しようとしている。同筋によるとアルセロールは、セベルスタリのアレクセイ・モルダショフ会長(40)が保有している同社の過半数株式を取得するとみられる。同氏は金属業界の有力者で、ロシア政府寄りの大物実業家の1人。
この取引が成立すれば、アルセロールは鉄鋼生産コストの低いロシアでの事業を拡大できる。またセベルスタリのロシア以外での事業拡大を目指すモルダショフ氏の野心を増幅させることにもなる。さらに、アルセロール株を友好的な企業の手中にとどめ、ミタルによる経営権取得を困難にさせる働きがある。ただ、ミタルはアルセロール買収条件をさらに引き上げる可能性がある。アルセロールに近い筋によると、同社とセベルスタリがかなり前から話し合いを続けてきた取引条件は、ミタルによる買収提示額を上回る価値をアルセロールにもたらすという。
同筋によると、この取引が成立するには株主の承認が必要。
ミタルのアディティア・ミタル社長兼最高財務責任者(CFO)は25日、アルセロールとセベルスタリが合併する可能性を否定し、「業界の論理に基づいて考えれば、ミタルによる買収にかなうものはない」と述べた。
ミタルは18日にアルセロールの株式公開買い付け(TOB)を開始し、その翌日には買収額を34%引き上げ市場を驚かせた。この額は、ミタルが1月にアルセロール買収の意向を明らかにする以前の株価を70%上回る水準に達している。
事情に詳しい筋によると、ミタルが買収額を急いで引き上げたのは、アルセロールがミタルによる買収を阻止するためにロシア企業との合併合意に近づいているのではないかと考えたためだという。
関係筋によると、アルセロールは1月以来、同社株を大量に取得してくれるホワイトナイト(被買収企業にとって友好的な買い手)を世界で探していたが、これまで実現しなかった。
アルセロールはすでに、鉄鋼生産コストの低いロシアとブラジルで大規模な事業を展開している。ロシアの鉄鋼各社は、低い人件費や、先進国に比べ豊富な鉄鉱石と原料炭を生かし、商品市況の変動の影響を抑えている。
セベルスタリの2005年の純利益は12億9000万ドル。同社とアルセロールとの提携関係は長く、急成長しているロシアの自動車業界向けに亜鉛めっき鋼を生産する合弁会社がセベルスタリの本拠地にある。