露が国家統制強化 サハリン石油プロジェクト、背景に欧米への反発
ロシア天然資源省は二十五日、日本も参画し欧米諸国主導で共同開発が進むサハリンの石油・天然ガスプロジェクトへの国家統制の強化を検討していることを明らかにした。ロシア側が国際的な巨大プロジェクトを「国営化」することには多大な困難が伴うが、豊富なエネルギー資源を背景にした排他的なロシア民族主義が高まる中、欧米側は、ロシア当局による不気味な圧力に警戒感を強めている。
ロシアの英字紙モスクワ・タイムズによると、同省のギタズリン報道官は「(ロシアは)富を失っている」と強調し、同プロジェクトへの政府の対応を見直すことを検討していると語った。
ロシア自然科学アカデミーはこのほど、欧米投資家の非効率的な運営と計画の遅れでロシアが百億ドル(一兆千五百億円)もの損失を受けているとして、ロシア政府が欧米ら投資家との間で、利益の分配法などを明確に定めた生産物分与協定(PSA)を見直し、ロシア企業に開発主導権を与えるべきだとする報告書をまとめ、同省に提言として提出した。
米エクソンモービル主導の「サハリン1」には、ロシア国営石油ロスネフチが12%参画し、欧州のロイヤル・ダッチ・シェルによる「サハリン2」では、ロシア国営ガスプロムが25%参画をもくろみ、交渉中とされる。ロシア側は、これら欧米主導の有力プロジェクトへの国家統制を強化したいというわけだ。
しかしその一方で、ロシア産業エネルギー省の報道官は「協定の見直しについては、聞いていない」とも述べた。
欧米の専門家はこれに対し、「ロシアでは、サハリン・プロジェクトがエネルギーを安く外国に垂れ流しているとの批判が強まっている。ロシアの資源は、ロシアのためにという資源ナショナリズム(民族主義)は今後もっと高まるだろう」とみており、排外主義の拡大に神経をとがらす。
さらに、ロシア当局による「圧力」について、「ただ単に税金の早期支払いを求めているだけでなく、ロシアのエネルギー外交を批判する欧米に対する反発があり、欧米との摩擦は今後さらに高まることになるだろう」と指摘した。
◇
【用語解説】サハリン開発
サハリン北東部大陸棚で進められる石油・天然ガス開発計画。9区域に分かれ開発が進められ、現在「サハリン1」、「サハリン2」が生産段階に入っている。サハリン1の推定可採埋蔵量は石油23億バレル、天然ガス4850億立方メートルで、日本からは丸紅、伊藤忠商事などが出資。サハリン2は石油10億バレル、ガス4250億立方メートルで、三菱商事、三井物産の企業連合「サハリン・エナジー」が参画している。日本に対しては2006年末にもタンカーで輸出が始まるとみられている。