ホテル・住宅用不動産・旅行サービスなどを手掛けるセンダント(NYSE:CD)のヘンリー・シルバーマン最高経営責任者(CEO)はかねてから、投資家が同社の傘下にある事業を過小評価しているとこぼしていた。しかし、ある意味で、彼はそれを証明するチャンスを間もなく得ることになろう。
センダントは2-3週間後に、同社を分割する作業に着手し、まずは不動産事業のリアロジーを6月か7月に分離独立させる。そして、10月までには、センダントは解体して4つの「単独事業」、つまり、不動産、ホテル、レンタカー、旅行サービスの独立した上場企業4社に衣替えする。不動産以外の3事業は、夏に上場を予定している。シルバーマン氏はリアロジーのCEOになるが、1年後には経営現場から退いて、リアロジーの会長として残ることになろう。
この一連の分離独立は、解体した複合企業体にウォール街がどの程度食指を動かすか、格好のバロメーターとなる。過去2年間にも、IACインタラクティブコープやバイアコムなどで、同様の企業解体があった。これは、センダントの株価低迷にいらだっていた株主にとって、救いとなる可能性がある。
センダントは、シルバーマン氏が設立したHFSと、会員サービス事業のCUCインターナショナルが合併して出来た会社である。センダントの株価は1997年12月18日上場初日の終値が32.75ドルだった。そして、1998年4月6日に41.38ドルの最高値を付けたが、その9日後に同社のCUC部門で詐欺行為が明らかになったことで急落した。シルバーマン氏は、そのスキャンダルに関与していなかったが、彼の力量に注目して同社株を買った投資家が逃げたからだ。同社株は現在、上場時から40%以上も安くなっている。
もう一つの問題点は、シルバーマン氏の報酬だった。彼は1998年以降、センダント株が下がったというのに、サラリー、ボーナス、特別手当、ストックオプション行使などで5億ドル近くの報酬を得ていた。また、不毛な買収や、頻繁に変わる経営戦略に伴う混乱で、経営陣は投資家の信頼を失った。
シルバーマン氏が今回の分割を発表したときに指摘したとおり、センダントの各事業が、それ自体単独で、より高い評価を得ている証拠はある。同社が2004年6月に、ジャクソン・ヒューイット・タックス・サービシズを分離独立させて新規株式公開(IPO)してから、この株は88%以上値上がりした。また、オートフリート・チャージカード事業ライト・エクスプレスは、2005年2月にIPOしたが、ほぼ73%値上がりした。
センダントの株価は、この1年間に23%以上値下がりしたが、この間、ダウ工業株30種平均は6%値上がりした。ニューヨーク証券取引所で金曜日午後4時、センダントの株価は16.38ドルで引けており、時価総額は160億ドル以上となっている。
センダントは、堅実な業績にもかかわらず、詐欺事件の影響を完全にぬぐい去ることが出来ていないとの声が一部にある。同社は昨年、売上高が182億4000万ドル、利益が13億4000万ドル、自社株買戻しが10億ドル以上、配当が4億2300万ドルだった。
センダントの各事業の合計価値は、現在の同社の株価より30%も高いという見方で、アナリストらの意見は一致する。「同社株の真の価値を具現する唯一の道は、分離独立だ」とポール・キョン氏(CIBCワールド・マーケッツのアナリスト)は言う。CIBCは、センダント株を保有し、投資銀行業務も行っている。同氏は、センダントの投資格付けを「アウトパフォーム」としている。