WSJ-EADS株急落、エアバスA380納入遅延によるボーイング大量受注で
欧州航空機メーカーのエアバスの親会社である欧州航空・防衛大手EADS(5730.FR)の株価が14日、急落した。エアバスが13日に次世代超大型旅客機「A380」の引き渡し遅延を再び発表したことを受け、シンガポール航空(S55.SG)が14日、米ボーイング(NYSE:BA)に次世代中型旅客機「787ドリームライナー」を大量発注したうえ、ほかの航空会社もA380の引き渡し遅延への補償をエアバスに求めたため。
エアバス株80%を保有するEADSのパリ証券取引所での14日終値は、前日比6.69ユーロ(26.32%)安の18.73ユーロ(約23.50ドル)となった。一時は34%下げる場面もあった。
エアバス株20%を保有する英航空防衛大手BAEシステムズ(BA.LN)のロンドン証券取引所での同日終値は、同3.75ペンス(1.08%)安の345.00ペンス(約6.33ドル)。BAEは保有するエアバス株をEADSに売却する方向で交渉している。
ボーイング株の同日終値は、同5.03ドル(6.53%)高の82.01ドル。その後の時間外取引でも一段高となり、82.65ドルで取引されている。
A380の引き渡し時期の延期は今回が初めてではなく、エアバスのほかの機種の引き渡しについても大きな疑問が浮上している。航空機の開発サイクルが比較的長いことなどから、ボーイングは今後数年にわたり、エアバスより優位に立つ可能性がある。
EADSは、A380の引き渡し遅延により、2010年までの利益は20億ユーロ押し下げられるとみている。
シンガポール航空は、ボーイング787ドリームライナー20機を確定発注、さらに20機をオプション発注した。値引き前の総額は45億2000万ドル。
またシンガポール航空やオーストラリアのカンタス航空は14日、A380の引き渡し遅延への補償を求める方針を明らかにした。マレーシア航空は、同型機6機の購入契約の条件を見直している。
A380の引き渡し遅れで、EADSのノエル・フォルジャール共同最高経営責任者(CEO)は試練に直面している。同氏は同型機の開発当時、エアバス社長として開発の指揮をとっていた。14日のアナリスト向け電話説明会で同氏は、進退についての質問には直接答えず、「過去の責任を追及するより、今後進むべき道を見つけなければならない」と述べた。
エアバスは、ボーイング787型機に対抗する「A350」の設計変更を進めている最中だった。シンガポール航空のチュー・チュンセンCEOはA350の当初の設計を「787型機には対抗できない」と批判していた。
ボーイングによると、787型機はA350に比べ運航コストが20%少なく、整備費用は3分の2。エアバスは2004年以来、787型機に対抗するため、A330型機を基にしたA350の設計に改良を加え続けており、中型機市場ではボーイングに最大3年の後れをとっている。