ストレージ(外部記憶装置)関連機器大手の米EMC(NYSE:EMC)は29日、米オンライン認証システム大手のRSAセキュリティー(Nasdaq:RSAS)を約23億ドルで買収することで合意したと明らかにした。法人ネットワーク向け認証管理・暗号化技術を手掛けるRSAセキュリティーをめぐる買収戦で、EMCが勝利を収めた。
EMCは、大企業向けのストレージ販売が主な事業だったが、大口契約の価格下落を背景に業容拡大を図っている。ハッカーやウイルス、情報詐取を懸念する企業にとって、セキュリティー対策が重要な課題になっている。EMCは、ストレージ機器と、それに記録されるデータのセキュリティーを同時に手掛けるのは合理的、とした。
RSAは昨年、470万件のセキュリティー証明を発行した。売り上げはかなり伸び悩んでいる。2005年の売上高は3億1000万ドルと、前年比1%増にとどまった。01年に比べても10%の増加にとどまる。
29日付ニューヨーク・タイムズ紙が「RSAは同社に買収提案した複数の企業と交渉している」と報じたことを受け、RSA株のナスダック市場での終値は前日比3.52ドル(18.18%)高の22.88ドルとなった。RSAは同日午前、複数の企業と交渉中であることを認めていた。
株価が大幅に上昇したため買収金額は跳ね上がった。EMCは1株当たり28ドルを支払うことで合意。これはRSA株の29日終値を22%、買収交渉が報道される前の28日終値を45%も上回る水準だ。
買収合意は米株式市場の取引終了後に発表された。EMC株の29日終値は前日比変わらずの11.25ドル。その後の時間外取引では、買収価格の高さに対する警戒感から売られ、10.85ドルで取引されていた。EMCの株価が11ドルを割り込んだのは04年以来のこと。経営陣との電話会談で、数人のアナリストがこの買値についてジョー・トゥッチ会長兼最高経営責任者(CEO)に手厳しい質問を突きつけた。
同CEOは、「RSAとセキュリティー業界はたいへん好調だ。このことに気づいた企業がほかにもあり、激しく競合する状況だった」と語った。また、セキュリティーとストレージが企業の情報技術(IT)部門責任者の「最優先課題」と指摘し、EMCが持つ高水準のハイテク企業責任者との取引関係がRSAの技術の販売を加速させる、と付け加えた。
RSAのアーサー・コビエロ社長兼CEOはEMCの執行副社長に就任する予定。
ストレージメーカーとセキュリティー企業の融合には前例がある。ネットセキュリティー対策大手シマンテック(Nasdaq:SYMC)は昨年、ストレージ管理ソフト大手のベリタス・ソフトウエアを買収している。