すかいらーく、MBO実施へ

外食産業大手でファミリーレストランを展開するすかいらーくは8日、東証1部に上場している株式を経営陣が買収するMBOを行うと発表した。買収に伴う資金総額は最大で2718億円となり、ワールド経営陣による総額約2080億円を上回り、国内最大規模のMBOとなる。すかいらーくでは株式の非公開化によって、株価や株主の意見に左右されない経営体制を構築する。
 予定では、野村証券グループの野村プリンシパル・ファイナンスと英投資ファンドのCVCキャピタルパートナーズが出資した特別目的会社(SPC)がすかいらーくのTOB(株式公開買い付け)を実施する。株価は7日までの半年間の終値平均に27・4%のプレミアムを乗せた2500円。TOBの期間は6月9日から7月10日まで。まずは発行済み株式数の66・67%以上の取得を目指す。
 最終的には全株を取得した上ですかいらーくを吸収合併し、非公開化を完成させて。事業再編を推進する。5年後をめどに再上場も検討する。
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 ■「非公開化で抜本改革」横川会長 株主の理解と協力求める
 8日、東京・大手町のKKRホテル東京で会見した横川竟(きわむ)会長は、「成長のためには抜本的な改革が必要不可欠。さまざまな価値観を持つ株主の賛同を得ながら、大胆な改革を行うことは現実的には難しい」と、非公開化に踏み切った理由を説明した。
 すかいらーくは、非公開会社になることで少子化・高齢化や競争の激化で、右肩上がりの成長路線にかげりの見える外食事業の再編に取り組む。「簡単に理解いただけないかもしれないが、お客さまに喜んで頂ける企業に生まれ変わっていく私たちの姿を見せることで了解を賜りたい」とも話し、株主の理解と協力を求めた。
 すかいらーくの05年12月期連結売上高は前期比1・1%減の3793億円、経常利益は同6・4%減で185億円と減収減益だった。06年度は通期で3919億円の売上高と経常利益230億円を見込む。
 多様化する消費者ニーズに合わせ、多角化にも積極的に取り組んでおり、06年3月に関西が基盤のファミレスチェーン、トマトアンドアソシエイツを買収した。4月には小僧寿し本部を公開買い付け(TOB)によって傘下に入れた。
 こうした多角化や、不採算部門の整理などを行う際に、一時的な収益力の低下が起こり株主から反発を受ける可能性もある。魅力的な買収案件に対し、株主の判断を待たず即断する機動性も必要になる。すかいらーくでは非公開化に踏み切ることで、企業としての安定的・持続的な成長を果たせる体制を作り、09年末にグループ売上高で1兆円を目標とする中期経営計画の達成を目指す。
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 ■買収リスクやモノいう株主 企業から“三行半”拍車
 すかいらーくの経営陣によるMBOは、株式公開が企業の健全で持続的な成長に、必ずしも寄与しなくなった日本の資本市場の現状を、映したものといえそうだ。
 アパレル大手のワールドが、2005年7月に経営者の出資する企業を通してワールド株のTOBを実施し、非公開化を成功させた。飲料のポッカコーポレーションも05年8月にMBOを実施した。低金利で銀行などから借り入れられる昨今、資本市場からの調達を目的に株式を公開しておくよりも、非公開にして買収リスクを避ける方が得策という判断が働いた。
 “モノいう株主”の増加も、企業の非公開化に拍車をかける。村上ファンドをはじめ、内外のファンドが株式を買い占め、経営陣に改善を迫るケースが増えている。株主還元を引き出し、投資家から歓迎される面もある。しかし、長期的な視点に立った投資を行い、継続的な成長を目指した経営を行っている企業にとっては、短期的な収益だけで還元を求める株主の存在が“足かせ”となる。
 こうした状況が起こらないよう、企業ではIR(投資家向け広報)を行い、経営姿勢を説明して理解を求め、安定的な株主づくりを行ってきた。中でも、すかいらーくはIRに熱心な企業といわれていたが、企業の経営姿勢を勘案せず、短期的な株価の変動だけをみて売り買いする投機家の増加に、IRの目的が果たせなくなっている。
 株式投資が盛り上がる中で、言葉の足りない企業に、株主が“三行半”を突きつける動きが強まった。投機目的の株式投資が横行し、言葉を尽くした説明が通用しなくなってもいる。
 株主の顔色をうかがっていては、機動的な経営は行えないと判断した企業が、逆に株主に“三行半”を突きつける。こうした動きが、日本では今後も起こりそうだ。
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 ■株価が急騰
 全面安となった8日の東京株式市場で、すかいらーくの経営陣による株式買収(MBO)が報じられたことを受け、同社株は急騰した。
 MBOが実施されれば高値で買い取られるとみられることから人気となり、前日比290円高の2365円で取引を終えた。取引終了後にすかいらーくは終値を上回る1株2500円で買い付けると発表した。
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【会社概要】すかいらーく
 1962年に食品スーパー「ことぶき食品」として創業。70年にファミリーレストラン1号店を東京都府中市に開業し、外食産業を展開。74年にすかいらーくに社名変更。グループで「ガスト」「バーミヤン」のほか、持ち帰りの「小僧寿し」など全国で約4400店舗を運営する。78年に店頭公開、82年東証2部に上場し、84年に東証1部に上場した。4兄弟による同族経営が長く続いたが、2003年に全員取締役を退任。今年3月に三男の横川竟氏が会長兼最高経営責任者(CEO)に復帰した。
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【用語解説】MBO
 management buy-outの略。経営陣が親会社や創業者から自社株式を買い取り、経営権を取得すること。投資ファンドや金融機関の支援を受けるケースが一般的。従来、子会社の経営陣が独立を狙い利用する事例が多かったが、最近ではワールドや飲料大手のポッカコーポレーションのように、上場企業が株式の非公開化を目的に実施するケースが増えており、「究極の買収防衛策」として市場の関心を集めている。2005年に国内で行われたMBO件数は前年比24件増の67件(レコフ調査)だった。
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【用語解説】SPC
 special purpose companyの略。特別目的会社と訳される。資産の現保有者からの買い取り、資金調達のための証券発行、投資家への収益配分など特別な目的のために設立する会社。日本国内に設立する場合は、資産流動化に関する法律(SPC法)に基づいて設立することが多い。定款で事業の目的を特定すれば株式会社でもSPCになる。

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