三井住友海上、行政処分へ 新たな支払い漏れ3000件発覚

金融庁は19日、損害保険大手の三井住友海上火災保険に対し、業務の一部停止や、経営陣の責任の明確化を含む業務改善計画の提出を求める行政処分を週内にも下す方針を固めた。金融庁の通常検査で、同社が自主申告していない保険金の支払い漏れ案件が新たに3000件あまり見つかったほか、各種契約の不正手続きの横行も確認されたもよう。5月の損害保険ジャパンに続く業務停止命令で、他の損保にも波紋が広がりそうだ。
 金融庁の五味広文長官は19日の定例会見では「個別の案件には答えられない」と処分の有無を明確にしなかった。ただ、「明治安田生命保険の不払い事件を機に、生保・損保の検査、監督の重点が支払い漏れ・不払いのチェックにシフト」(金融庁幹部)。この結果、大手損保の企業統治やコンプライアンス(法令順守)体制に新たなほころびが発覚したもようだ。
 損保の支払い漏れについて金融庁は当初「意図的ではなく“間の抜けたミス”」(幹部)と判断。昨年10月に業界に要請した一斉点検と未払い案件の自主申告で事態が改善すると楽観視していた。
 しかし、損保ジャパンに対する通常検査で新たな支払い漏れが判明。「経営陣が自主調査全般の正確性を確保するために部門横断的な社内体制を整備することを怠っていた」と厳しく批判する姿勢に転じている。
 金融庁はすでにあいおい損害保険、日本興亜損害保険の検査を終え、現在はスミセイ損害保険の検査を実施中。「生保の場合、明治安田生命の苦情件数が突出していたが、損保は事情が異なる」(金融庁幹部)と業界全体に視線を向けており、今後、行政処分が広がる可能性も否定できない状況だ。
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 ≪最高顧問辞退も≫
 三井住友海上火災保険は、「金融庁から(行政処分の)話が来ていないのでコメントすることはできない」(広報部)としている。
 ただ、業務停止処分が出た際には、28日の株主総会後に予定していた井口武雄会長と植村裕之社長の最高顧問就任と、退職金の辞退を検討する見通し。また、今月末に予定していた次期社長の江頭敏明・最高経営責任者(CEO)の日本損害保険協会会長就任も、辞退を検討しているもようだ。
 損保業界では、損害保険ジャパンに続く業務停止命令が出た場合、「業界全体への不信感が顧客に広がる」(大手損保幹部)との不安の声が出ている。

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