WSJ-マイクロソフト、ストックオプション付与日の正当性を主張

米マイクロソフト(Nasdaq:MSFT)は、1990年代のストックオプション(自社株購入権)付与日について、正当性を主張している。

同社は90年代後半の証券取引委員会(SEC)への提出書類で、ストックオプション付与に関連する会計基準を順守していると投資家に説明していた。だが、この時期はおおむね、ストックオプション付与の日付を、過去1カ月で株価が最も低かった日にさかのぼって設定していた。これは、連邦当局が現在調査対象にしている、付与の日付を実際よりさかのぼる「バックデート」と呼ばれる行為の一種だ。会計専門家は、このためマイクロソフトは当該の会計基準を順守していなかった可能性があると指摘している。

したがって、マイクロソフトはSEC提出書類へのストックオプションについての記載を通じ、投資家と規制当局を欺いていた可能性がある。また、同社の会計監査を担当するデロイト・アンド・トウシュは、不正確な財務報告書に署名した可能性がある。

マイクロソフトは99年、ストックオプション付与の日付について、問題の方法をやめ、「これまではこの方法を採用していた」と公表した。また、同年6月期決算で、この方法で付与していたストックオプションの費用として2億1700万ドルの特別費用を計上した。

同社は、90年代にストックオプション費用の計上の仕方を規定した「一般に認められた会計原則(GAAP)」を順守していたと「当時も今も」確信しているとした。同社の企業広報部門ゼネラルマネジャー、ラリー・コーエン氏は声明で「マイクロソフトのストックオプション付与では、過去30日で最低の株価を行使価格に設定する方法を選択的に採用していたのではなく、バックデート行為はなかった」と述べた。

デロイトの広報担当者は声明で「90年代もそれ以降も、マイクロソフトの財務報告書に重大な虚偽の記載があったとは認識していない」とした。

連邦当局がストックオプションのバックデートについての調査対象を広げるなか、マイクロソフトの90年代のストックオプションも調査対象となった。多くの企業で最も顕著なのは、企業幹部に付与したストックオプションでのバックデートだが、マイクロソフトの付与日設定方法は、幹部だけではなく全従業員を対象としていた。

90年代の会計基準では、行使価格が付与日の株価と同じであればストックオプション費用を計上する必要はなかった。だがこの時期、マイクロソフトは行使価格を、過去1カ月で最低の株価に設定することが多かった。つまり、行使価格が付与日の株価より低い場合が多かった。こうしたオプションは、権利を直ちに行使して株式を売却すれば利益を得られる状態にあり、「イン・ザ・マネー(ITM)」と呼ばれる。

ITMオプションを従業員に付与し、この情報を株主に開示しない場合、連邦証券関連法に抵触する恐れがある。また企業は適切な会計処理をしなければならず、マイクロソフトに問題があったかもしれないとされるのはこの点だ。

当時適用されていた規則である会計原則審議会(APB)意見書25号では、ITMオプションの費用計上を義務づけていた。ちなみに今年からは、すべてのストックオプションの費用計上が義務づけられている。

委任状説明書や各種の証券関連の届け出を見ると、マイクロソフトは少なくとも1992年以降、過去1カ月で最も低い株価を行使価格に設定する方法を採用し、同年から1999年までこの方法でストックオプションを付与していたことがわかる。

だがSECへの提出書類はそうなっていない。1998年6月期の年次報告書の脚注で「APB25号に準拠している」と記載している。つまり、行使価格と付与日の株価が同じであるためストックオプション費用は全く計上されていないということになる。同社は、1997年6月期の年次報告書でも全く同じ記述をしていた。

会計専門家は、「マイクロソフトとデロイトは、計上すべき費用はわずかなので計上しなくてもよいと考えた可能性がある」と指摘した。この場合、APB25号に準拠していなくてもGAAPには従っているとみられる。

ただ、同社はSEC提出書類に、「APB25号に準拠している」と記載している。これが事実と異なる場合は問題だと指摘されている。

また、関係筋によると、マイクロソフトがストックオプションをITMの状態にあると認識していなかった可能性がある。

ニューヨーク市立大学バルーク校のノーマン・ストラウス教授(会計学)によると、オプションがITMの状態にあるかを判断するためには、行使価格とオプション付与の規模を決めた日が重要となる。

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