三洋電機 ノキアとの合弁撤回 携帯電話事業、将来像見えず

経営再建中の三洋電機は22日、世界最大の携帯電話メーカー、ノキア(フィンランド)と進めていた合弁会社の設立計画を撤回すると発表した。三洋の構造改革の目玉の1つだっただけに、今後の再建の行方にも影響を及ぼしそうだ。
 今年2月の基本合意で両社は今夏にも合弁会社を設立、本社を米カリフォルニア州サンディエゴに置き、米国などで普及しつつある第三世代規格「CDMA2000」の携帯電話事業を新会社に移す計画だった。出資比率は、折半か三洋側が過半数を取る方向で協議が進んでいたとみられる。
 しかし、「(両社が)新会社を設立するより、他の選択肢を個別に行う方が適切」との結論に達したという。
 破談に至った理由について大阪市内で記者会見した前田孝一副社長は、「新会社への期待度や販売数量、売上高など(事業計画の)イメージがすり合わなかった」と説明した。
 三洋の平成18年3月期の国内外の販売台数は、過去最高の1250万台(このうちCDMA2000端末は1000万台)と好調に伸びているが、国内市場が頭打ちとなる中、ノキアとの提携で、世界市場での販売増加を目指していた。
 携帯電話事業の将来像が見えなくなったことについて前田副社長は「3~5年後にリスクが浮上することが考えられる。世界シェアをどう高めるか考えたい」と述べるにとどまった。
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 ■経営再建に暗雲
 三洋電機とノキアが携帯電話事業の合弁会社設立を撤回したことは、三洋の前途に暗い影を落とすことになる。
 2月中旬に基本合意を発表し、直後の臨時株主総会で改革の成果を強調した経緯もあり、23日の定時株主総会では経営責任への追及が高まるのは必至だ。
 大阪市内で記者会見した前田孝一副社長は交渉が白紙となった直接の原因への言及を避け、抽象的な表現を繰り返した。合弁会社で取り扱う予定だった第三世代規格「CDMA2000」について、「両社の(事業に占める)ウエートの違いがあった」と説明した。
 三洋にとって第三世代は携帯電話事業の柱でも、ノキアにすれば一部に過ぎないだけに、期待する売上高や利益の差が大きかったことを示した。
 前田副社長は「携帯電話事業は黒字でこれ(提携白紙)によって業績が左右されることはない」としたが、2月の基本合意発表では「このままでは日本の携帯電話メーカーは生き残れない」(鵜狩武則常務執行役員)とノキアと提携する理由を強調したこともあり、今後の事業の再構築が急がれるのは必至だ。
 ただ、三洋の場合、こうしたケースは今回が初めてではない。三井物産と続けた金融子会社株の売却交渉も、野中ともよ会長(当時は会長兼CEO)が交渉を認めた後に破談。昨年12月、「台湾メーカー」とのみ示してテレビ事業の提携交渉を明かす異例の発表を行ったが、その後も最終合意に至っていない。
 野中会長と井植敏雅社長の就任後、改革の進展を強調するあまり、提携交渉に関する不手際が目立つ。今後の経営再建に一段の不安感を抱かせる結果となった。

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