WSJ-株価低迷続くタイム・ワーナー、分割求める声強まる可能性も
カール・アイカーン氏は闘いから早く手を引きすぎたようだ。
アイカーン氏は、タイム・ワーナーの経営権を取得して会社を分割させることを目指していたが、2月にこれを断念した。それから4カ月たった現在、タイム・ワーナーがアイカーン氏の提案を一部受け入れて自社株買い枠を200億ドル規模に拡大したにもかかわらず、同社株は約10%下落している。これと同じ期間、ライバルのニューズ・コーポレーション(NYSE:NWS.A)、コムキャスト(Nasdaq:CMCSA、CMCSK)、ウォルト・ディズニー(NYSE:DIS)の株価は最大20%上昇している。
株価低迷により、タイム・ワーナーはかつてないほど、ヘッジファンドや未公開株投資会社による攻撃に対し、もろい状態となっていると投資家らは指摘する。アイカーン氏は、少なくとも現時点では、再びタイム・ワーナーに攻勢を仕掛ける予定はないという。ただ、株価低迷が続いていることで、同氏が主張していた会社分割案が支持を得る可能性はある。
AIMインベストメンツのファンドマネジャー、マーク・グリーンバーグ氏は「適正な価格であれば、会社分割には関心がある」と話した。AIMは3月31日時点でタイム・ワーナー株を約140万株保有している。
タイム・ワーナー株の22日終値は前日比13セント(0.75%)安の17.12ドル。時価総額は約730億ドルと、2月時点と比べ65億ドル減少している。
株価の下落は、アイカーン氏が手を引いたことも一因だが、大半の同社事業に対する懸念も反映している。投資家はここ数年間、映画部門ワーナー・ブラザーズやケーブルテレビ(CATV)ネットワークのターナーなどの伝統的なメディア事業が堅調な成長を続ける中で、インターネット部門AOLの見通しが明るくないことを嘆いてきた。
しかし現在は、ワーナー・ブラザーズや雑誌・出版部門タイムの業績に軟化の兆しがみられているほか、ターナーなどの事業の潜在成長力をアナリストらは疑問視するようになっている。
ペイリ・リサーチのマネジングディレクター、リチャード・グリーンフィールド氏は「問題があるのはAOLだけではない」と指摘した。
特に懸念されているのは、デジタル技術がタイム・ワーナーの旧来型メディア事業にどのような影響を及ぼすかだ。例を挙げると、タイム部門は、広告が雑誌からインターネットにシフトしていることが打撃となっている。1-3月期のタイム部門の営業利益は、主に国際事業の低迷を理由に13%減の7100万ドルとなった。経営陣はタイムの提供するデジタルコンテンツが成長につながると自信を示している。
より長期的な課題として、一部のアナリストは、ターナーの抱える最大CATVネットワークであるTNTとTBSが、ユーザーのインターネット利用拡大に対応できるかどうかを挙げている。主要テレビネットワークの大半は、一部の番組をネットで提供しはじめている。しかしそうするには、インターネットで配信する権利を所有する必要がある。TNTとTBSは番組スケジュールを埋めるために再放送に大きく依存しているため、ウェブにコンテンツをシフトする能力は限られている。タイム・ワーナーによると、TNTとTBSは独自のコンテンツを制作しており、今後はそれをさらに増やす予定という。
一方、インターネットは、タイム・ワーナーの最大部門であるタイム・ワーナー・ケーブル(TWC)の成長を加速させている。TWCが提供する高速インターネット接続やインターネット電話サービスの人気を追い風に、TWCの収益は2けた成長をみせている。タイム・ワーナーの1-3月期決算が増益となったのは、TWCの好業績が主因だった。
一部のアナリストは、タイム・ワーナーはTWCをスピンオフ(分離・独立)すべきと主張する。バーンスタイン・リサーチのアナリスト、マイケル・ネイサンソン氏は、タイム・ワーナーは「低成長の荷物を多く抱えたCATV株だ」とした。
タイム・ワーナーは、経営再建中のアデルフィア・コミュニケーションズのCATV資産買収の一環として、TWCの株式16%を公開する計画。ただ、全面的なスピンオフには抵抗している。多額の税金支払いを避けたいことが一因。
タイム・ワーナー経営陣はまた、規模が競争上の大きな優位性につながると主張している。リチャード・パーソンズ最高経営責任者(CEO)は、投資家にとって重要なのは、タイム・ワーナーの構造ではなく、業績が好調であることだ、と強調する。
タイム・ワーナー幹部らはまた、バイアコム(NYSE:VIA.B)の会社2分割が株価上昇につながっていないことも指摘する。
経営陣は現時点ではAOLの立て直しを最優先している。幹部らはAOLの業績が回復すれば、株価も上昇すると考えている。これが正しければ、会社分割論は後退するだろう。
3月末時点でタイム・ワーナー株を2560万株保有するオークマーク・インベストメンツのファンドマネジャー、ビル・ナイグレン氏は「AOLに対する期待度はかなり低く、成長路線に戻ることができれば、それは予期せぬうれしい驚きとして受け止められるだろう」と話した。