WSJ-インテル、携帯通信機器用プロセッサー事業をマーベルに売却

米半導体メーカーのマーベル・テクノロジー・グループ(Nasdaq:MRVL)が同業最大手インテル(Nasdaq:INTC)の携帯通信機器向けプロセッサー事業を6億ドルで買収することで合意した。インテルは近年、主力のパソコン向けプロセッサー事業以外への多角化を進めていたが、その道のひとつを閉ざすことになる。

インテルは4月末に事業総点検とコスト構造改革計画を表明しており、今回の合意はその初の大きな成果だ。パソコン市場での伸び悩みとライバルのアドバンスト・マイクロ・デバイシズ(NYSE:AMD)との競争による利益圧迫が事業見直しの契機となった。

インテルと同じカリフォルニア州サンタクララに本拠を置くマーベルは、携帯電話やポケットコンピューターのソフトウエアを動かすアプリケーションプロセッサーやその他の携帯電話端末の通信機能を処理する、いわゆる「ベースバンドプロセッサー」の製造事業を買収する。同事業の従業員約1400人もマーベルが引き継ぐ見通し。

同事業はカナダの携帯情報端末(PDA)大手リサーチ・イン・モーション(Nasdaq:RIMM)の「ブラックベリー8700」や米パーム(Nasdaq:PALM)の「トレオ」シリーズ、米モトローラ(NYSE:MOT)の「Q」など、広く普及したPDA向けにプロセッサーを供給している。ただ、主流の携帯電話向けでは米テキサス・インスツルメンツ(TI)(NYSE:TXN)や米クアルコム(Nasdaq:QCOM)などを相手取って成果を上げることはできなかった。

発表を受け、マーベルの株価は大きく下落。27日終値は前日比7.76ドル(14.95%)安の44.14ドルだった。インテルは同0.23ドル(1.26%) 安の18.05ドルとなった。

インテルはかつて、携帯機器向け通信プロセッサー事業がパソコン・サーバー向けプロセッサー製造事業への依存を軽減すると強く期待していた。同社は1998年、ARMホールディングスからアプリケーションプロセッサー向けの半導体技術のライセンスを取得し、これが「XScale」というプロセッサーシリーズの基盤となった。99年にはベースバンドプロセッサー製造会社のDSPコミュニケーションズを約16億ドルで買収した。

リーマン・ブラザーズ・ホールディングスのアナリスト、ティム・ルーク氏は、同事業の売却は「非常に合理的」とコメントした。また、モルガン・スタンレーのマーク・エーデルストーン氏は、同事業の年間売上高は約4億ドルで、毎年8000万ドルの赤字を出しているとの推計を示した。一方、マーベル側は今回の買収で携帯電話市場で「急発進」できる、とみる。

マーベルは、現在は携帯電話市場におけるシェアは小さいものの、社内開発品とインテルから取得する技術が合わされば第3世代(3G)携帯電話市場で大きな役割を果たす可能性もあると意気込みを示した。買収後1年ほどで利益を生み始めると予想している。

トムソン・ファイナンシャルがまとめたアナリスト向け電話会見のトランスクリプトによると、マーベルのセハト・スタージャ最高経営責任者(CEO)は「この買収による長期的利益が当社を世界有数の携帯電話向け半導体メーカーに押し上げると確信している」と述べた。

インテルはマルチコアプロセッサーとコンピューター需要を喚起する戦略の中核である、「Wi-Fi(ワイファイ)」や「WiMAX(ワイマックス)」などの高速無線LAN(構内情報通信網)接続技術向けプロセッサー事業を継続する計画だとした。同社は他の製品についてもARMの技術の使用許諾権を保有している。

だが、アナリストらは、インテルが近いうちに他の通信用プロセッサーも売却し、同じく不採算に陥っているNOR型フラッシュメモリー事業を縮小する可能性があるとみている。インテルの広報担当者はこうした可能性に関するコメントを避けた。

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