ブラジル バイオ燃料で主導権 エタノール生産倍増 輸出拡大を支援
ブラジルが植物系エタノールの大幅な増産に動いている。エタノールはガソリンに近い燃料として、原油高騰を背景に需要が伸びている。エタノールの原料となるサトウキビ生産量の大きいブラジルは、バイオ燃料市場で主導権を握る考えで、エタノールと原料のサトウキビ生産量を5年以内にほぼ倍増させる。ブラジル政府も次世代の主力輸出産業として育成する方針を打ち出した。
自動車などでガソリンとの混合燃焼も可能な植物性エタノールの生産では、トウモロコシを原料に生産する米国とサトウキビを原料とするブラジルが全世界の市場の9割を占めている。米国がほぼ全量を国内消費するのに対し、輸出市場ではブラジルが主役となっている。
ルラ大統領はこのほど、エタノール生産でブラジル国内に200万人の雇用が生み出され、それによる輸出収入が20億レアル(約1020億円)に達していると述べ、政府としてさらに輸出拡大を支援する方針を打ち出した。
英国の砂糖業界団体は先に、需要増を背景にブラジルのサトウキビ生産量が現在の年間3億8700万トンから2011年までに6億トンにまで引き上げられ、エタノールの生産量も1600万キロリットルから2700万キロリットルにまで増加するとの予測を示した。このため世界のバイオ燃料市場でブラジルの存在感がさらに強まるのは確実とみられる。
ブラジルは砂糖生産量の高さを背景に長年、ガソリンにエタノールを混ぜて利用する技術が進んでいる。このためエタノールを燃料とする自動車の購入に減税措置を導入したほか、エタノールのガソリンへの混入比率を20%に引き上げるなど、エタノールの国内利用を広げてきた。
バイオ燃料では、英BPが先に、米デュポンと共同で英国内でバイオ燃料の商用化を行うと発表したほか、英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルも独フォルクスワーゲンなどと合同で、エタノールの商業生産開始に向けた準備を進めている。原油高とともに欧米のエネルギー大手の関心は高まる一方で、エタノールの主要調達先としてブラジルを重視している。
日本政府も2032年までにはガソリンにエタノールを10%混合させる方針を決めており、ブラジルは今後、バイオ燃料で世界的な注目を集めそうだ。