三井物産 温暖化ガス削減事業強化 メタン回収に出資 インドネシア
年内に日本向け仲介会社
三井物産は、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガス削減事業のプロジェクト発掘や排出権売買の仲介を強化する。インドネシアのブラン島養豚場で発生するメタンガスの回収事業に出資するほか、月内にも中国・甘粛省で水力と小型風力発電事業の排出権を電力会社向けに仲介する。また、日本向けの仲介機能を強化するため、2002年に資本参加した排出権売買の「シーオーツーイー・ドットコム」(CO2e.com、本社・ロンドン)の日本法人を年内に設立する計画だ。
日本は京都議定書で、温室効果ガスを90年比6%(08~12年の平均で)削減することが義務付けられている。しかし、最近の景気回復でCO2を発生する石油など化石燃料の使用量が増大し、6%削減の達成が危ぶまれている。このため、自主目標で温室効果ガスを削減する電力会社や鉄鋼メーカーなどでは排出権の購入意欲が高まっており、日本政府も7月にも排出権の買い取りを開始する計画で、商社の仲介機能に期待している。
インドネシアの養豚場糞(ふん)尿貯蔵池のプロジェクトでは、空気中に放出されたメタンガスを回収するもので、CO2換算で120万トンの排出権が見込まれ、近く京都議定書に基づくクリーン開発メカニズム(CDM)に基づき国連承認を申請する。今夏をめどに養豚場の運営会社と合弁会社を設立する計画だ。
米国に次ぐ世界2位のCO2排出大国の中国では、内陸の甘粛省での風力発電事業と水力発電事業で発生する排出権を電力会社向けに仲介する2契約を近く結ぶ。
合弁会社を設立するのは昨年設立したチリの廃棄物処理場での合弁会社やアルメニア埋め立て処分場のメタンガス回収、発電に続き3件目。プロジェクト開発案件として5件目になる。出資によって経営に参画することで収益の拡大を狙う。
三井物産はチリの養豚場のメタンガス回収の排出権を東京電力に仲介したのをはじめ、東北電力、リコー向けなどに4件の仲介実績があり、今後も日本企業や政府向けに仲介事業を拡大する。
仲介事業を加速するのは、削減義務を達成できないと罰金を課せられる欧州企業や世界銀行が先行取得に動いていることが背景にある。早期に排出権を取得することで価格上昇を避けたいとの思惑がある。
日本政府も商社の仲介機能に期待しており、買い入れのため、今年度予算に54億円(契約分は122億円)を計上している。12年の削減期限までに1億トンを購入する計画で、少なくとも数百億円規模が必要になると試算されている。
大手商社は開発案件に加え仲介事業を強化するため、欧米の仲介専門会社との提携を強化している。三菱商事は01年に米ナットソースと共同でナットソース・ジャパンを設立。丸紅は昨年11月に英国の温室効果温暖化ガス削減事業会社のアイスキャップと提携し、途上国でのプロジェクト発掘を共同で行うほか、同社から購入した排出権を日本企業向けに仲介する。
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【用語解説】クリーン開発メカニズム(CDM)
Clean Development Mechanismの略。京都議定書は先進国に温暖化ガス削減目標を設定する一方で、削減のための手法として途上国の温暖化ガスを削減する技術を供与したり資金を提供した見返りに排出権を受け取り、その排出権を先進国の削減分にカウントできるCDMを明記している。
風力、水力発電、ごみ処理場や炭鉱からのメタンガス回収、代替フロンを製造する際に副次ガスとして生産される温暖化ガスなどが対象になる。