預金口座の開設や住宅ローンの取り次ぎなど、銀行代理店業務が4月1日に一般企業に解禁されてから、2カ月たった。金融庁はスーパーやコンビニエンスストアなど500社程度が手を挙げると期待していたが、実際に参入した企業はまだ1社もない。コンプライアンス(法令順守)などで厳しい基準が設けられたため、企業が「副業」として取り組むには負担が大きく、二の足を踏んでいるのが実情だ。
金融庁は、銀行代理店の活用策として、百貨店やスーパーでの口座開設、住宅ローンや自動車ローンの取り次ぎなどを想定した。企業は手数料収入が見込めるが、参入するには商品説明などで銀行並みの対応が求められる。同庁の許可が必要である上、参入後も定期的に検査を受けなければならない。
当初は、充実した販売網を持つスーパーやコンビニなどの流通業が関心を示していた。いまや流通業はATM(現金自動預払機)設置が普通になっており、その延長線上のサービスとして展開できるためだ。
実際、コンビニ大手のローソンは5月26日の株主総会で「銀行代理業」を定款に追加し、参入の検討を始めた。しかし、同業界の店員はアルバイトが多いことから、「アルバイトに業務を担わせていいのかなど、クリアすべき課題が多すぎる」(同社)ため、具体化にはほど遠いようだ。
関西を地盤とするスーパーのイズミヤも、口座開設や住宅ローンの取り次ぎを模索している。しかし、代理店には1年以上の融資経験者の配置が義務づけられており、「客数が多い店舗でも、専門の担当者を置いてどれだけ採算が取れるか分からない」(同社)と、慎重な姿勢を崩さない。
「参入の検討はしていない」(高島屋)と素っ気ないところも多く、コストや手間がかかりすぎるのが難点となっているようだ。
金融庁は「体制整備には時間がかかるが、いずれ参入は進む」と、当面は静観の構え。ただ、金融界には「企業の参入基準が予想以上に厳しくなり、これでは活用は進みそうもない」(大手行役員)と、早くもあきらめムードが漂っている。
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【用語解説】銀行代理店制度
4月1日の銀行法の一部改正で規制緩和された。それまでも代理店制度はあったが、「銀行の100%出資で、他の事業と兼業してはいけない」という規制が撤廃され、一般企業でも銀行と契約し、預金口座開設や個人ローンなどの金融商品・サービスを扱えるようになった。ただ、銀行には代理店への業務指導が義務づけられているほか、代理店が融資を取り次ぐ場合は金融機関の勤務経験者を配置しなければならないなどの規制は残っている。