インド後発薬メーカーの対日進出相次ぐ、提携拡大も

インドの後発医薬品メーカーが、日本市場に相次いで参入する動きをみせている。特許が切れた新薬成分を使う後発薬の市場拡大を見込み、コスト競争力を強みに販売攻勢をかける考えだ。一部の国内企業は、すでにインド社と提携して後発薬を販売している。相次ぐ参入が成果を伴えば、日印の医薬品メーカーで提携がさらに進む可能性もある。
 日本ケミファは昨年、後発薬開発・製造子会社である日本薬品工業の株式半数をインド大手のランバクシー・ラボラトリーズに譲渡した。国内で初めて外資企業と共同開発した後発薬を投入。糖尿病薬「ボグシール」など14品目の売上高は、当初予想の6億5000億円を大きく上回り、10億円弱に達した。
 共和薬品工業(大阪市)も昨年、インドの中堅メーカー、ルーピンと循環器官用や精神用などで製造販売契約を結んだ。インドの工場で開発、製造した後発薬を2008年から日本で販売する予定だ。今年4月、横浜市に日本法人を設立したトレント・ファーマシーズ社は、インドで自社・受託生産した後発薬の国内販売を08年にも開始する。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、さらに複数のインド企業が対日進出を検討中だ。インド事情に詳しい経済分析部知的財産課の石浦英博課長は「商社や子会社を経由した提携が進む可能性がある」とみる。

 インドの薬品メーカーが日本進出をねらう理由のひとつは“お国の事情”だ。日本と異なり、インドでは後発薬を主業務にする医薬品メーカーが多かった。特許法に基づく特許対象を、製品ではなく製造工程に限定していたため、海外で特許の切れていない新薬を別の手法で生産することが可能だったからだ。長年の蓄積したノウハウを武器に、高い技術力と競争力を持つとされる。

 しかし、インドは世界貿易機関(WTO)の貿易関連知的所有権に関する協定をにらみ、05年1月に特許法を改正。インドの各社は、世界の医薬品メーカーと同様に、特許が切れていない新薬の後発薬が生産できなくなった。このため、減収インパクトを抑制しようと欧米などの新たな市場を求め世界戦略を描く必要に迫られている。

 後発医薬品は、医薬品メーカーが開発した特許期間が切れた新薬と同じ成分・効き目で製造する医薬品。最大300億円の研究開発費と10年程度の期間が必要となる新薬開発に対し、後発薬は経費として1000万円、3年に抑えることができる。
 政府は医療費抑制をにらみ、投資額が少なく、新薬と比べ7割以下の薬価で販売が可能な後発薬の普及を後押ししているが、医薬工業協議会によると、2004年の医薬品に占める日本の後発薬のシェアは16.8%(数量ベース)にとどまる。
 医療費抑制のために積極的な使用を認めた欧米がすでに50%超のシェアを占めているのと比べると、出遅れ感は否めない。しかし、その分「日本市場は今後の拡大余地が大きい」と食指を伸ばすインド社首脳は少なくない、と専門家は指摘する。
 ただ、業界内にはインド社との提携を検討し、成果が見えないと見送った企業もある。「日本とインドメーカーの提携は一部で始まったばかりで、成功するかどうか見極めてからじゃないと動けない」(国内医薬メーカー)と慎重な見方があるのも確かだ。

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