WSJ-トリビューン、企業分割で株価は上昇するか

米メディア大手トリビューン(NYSE:TRB)が先週、20億ドル相当の自社株買い計画を明らかにして以降、同社の株価は13%上昇し、8日終値は前日比1.27ドル(4.19%)高の31.58ドルとなった。株主は、同社のテレビ事業のスピンオフ(分離・独立)など、より大掛かりなリストラをすれば、株価はさらに42%上昇する可能性があると考えている。

8日付ウォール・ストリート・ジャーナルが報じたように、こうした株価上昇の期待から、トリビューンの取締役会はテレビ事業のスピンオフを検討するようになったとみられる。トリビューン第2位の株主であるチャンドラー一族の信託基金もこの話し合いに参加している。ただ、メディア企業の最近のリストラは、企業分割が必ずしも株価上昇に結びついていないことを示している。

例えばバイアコム(NYSE:VIA.B)は、株主の投資収益の増加を期待して1月1日付で、テレビ・ラジオ事業を含むCBSと、ケーブルテレビ(CATV)・映画事業を含む新生バイアコムに分割された。6カ月が経過した現在、CBS(NYSE:CBS)の株価はほとんど変わらず、急成長が見込まれた新生バイアコムの株価は15%下落した。

オークマーク・ファンズ(シカゴ)のポートフォリオマネジャー、ビル・ニーグレン氏は「事業構成を専業に近づける考え方には賛成だが、バイアコムのように、投資家が引き続き低い評価をしている例もある」と述べた。

それでも、トリビューンの一部の株主は、企業分割で株価が上昇すると楽観視している。事業を分割すると、同社のテレビ事業、さらには新聞事業も売却しやすくなるというのが主な理由だ。トリビューンの大株主であるアリエル・キャピタルのアナリストは、トリビューンが事業を分割後、売却すれば、同社株の価値は44-46ドルになると見積もっている。同社は自社株を28-32.50ドルで公開買い付けする計画だ。

アリエルの副会長は「最近の合併・買収(M&A)をみると、トリビューンが保有しているような良質のメディア資産には高い買値がついている」と指摘した。アリエルは3月31日時点でトリビューン株の3.4%を保有していた。

トリビューンの株価が6月26日の公開買い付け期間終了まで上昇を続け32.50ドルを上回れば、買い付け金額の引き上げを迫られる可能性がある。だが、公開買い付けが株価上昇の主な要因であるため、同社が買い付け価格を引き上げるとは限らない。同社のスピンオフ検討のニュースも株価上昇の要因となった。

トリビューンのテレビ事業を新聞事業から分離するのは、同社が2000年にタイムズミラーを買収した戦略を後退させることになる。この買収には、有力な複数の新聞にテレビ事業を組み合わせ、地域メディア複合企業を築き上げる狙いがあった。だが関係筋によると、この戦略は失敗だったというのが大方の見方で、トリビューンの取締役の席を3つ確保し同社株12%を保有しているチャンドラー信託基金はこの失敗に不満を募らせているという。

株主のほとんどは、トリビューンはテレビ事業のスピンオフに続いて「シカゴ・トリビューン」や「ロサンゼルス・タイムズ」などの新聞事業も売却することになるとみている。新聞大手マクラッチー(NYSE:MNI)は、ナイトリッダー(NYSE:KRI)買収で獲得する新聞のうち12紙を売却する契約を結んだ。新聞業界には多くの問題があるといわれているにもかかわらず、これらの新聞の買収に関心を寄せている投資家は多い。ロサンゼルス・タイムズなど、トリビューンの一部の新聞にも、娯楽業界の有力実業家デビッド・ゲフィン氏のような資産家がすでに関心を示している。

トリビューンがテレビ事業のスピンオフを実施する保証はなく、実施するとしてもしばらく先になるとみられる。同社が自社株買い計画の最中であるばかりでなく、同社とチャンドラー信託基金は、どのようなスピンオフをするにせよ、トリビューン株、不動産などの資産の保有に関する複雑な提携関係を解消しておく必要がある。

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