キリン チルドビール拡販 飲食店向けに供給開始

キリンビールは、酵母を残したまま瓶詰めした高級ビール「一番搾り 無濾過(ろか)〈生〉」などチルドビール拡販の一環として、飲食店向けに供給を開始した。第1弾として大阪市に本社を置く大手寿司(すし)チェーン向けにチルドビールを供給していく。
 ≪配送方式を構築≫
 この大手寿司チェーンは、酒の小売り免許を持っており、酒販卸から直接、チルドビールを購入して魚介類を輸送する自社の冷蔵輸送網を活用して、各店舗に配送する仕組みを構築した。
 一般の飲食店は通常、小売店である酒販店からビールを仕入れているが、酒販店は冷蔵物流のためのトラックなどを保有していないケースが多い。このため、一般の飲食店にチルドビールを拡大するのはまだ先になるとみられるが、冷蔵輸送網が整えば、飲食店向け販売を拡大できそうだ。
 高級ビールの販促は、飲食店向けに普及を図ることが重要視される。高級ビールで首位のサッポロビールの「ヱビス」は、料飲店を舞台にした「ヱビスビールあります。」というCMキャンペーンを1994年に開始。飲食店向け販売を伸ばして、今年は1000万ケースを目標にしている。
 アサヒビールは、「熟撰」をギフト用以外は缶入りを製造せずに飲食店向けに限定販売している。サントリーは「ザ・プレミアム・モルツ」が好調なことから、丸山紘史常務は「飲食店でのサントリーの地位が上がった」としており、高級ビールは飲食店開拓の“武器”になっている。
 ≪引き合い相次ぐ≫
 キリンビールは、チルドビールを主体にした高級ビール戦略を推進しているが、冷蔵輸送網が整っていないことがネックとなり、飲食店向け展開を見合わせていた。
 チルドビールは賞味期間が60日と短い。冷蔵物流だけでなく、店舗の在庫も温度管理が重要なことから、キリンは、飲食店向け販売に対して慎重に展開していく方針を堅持していく。
 現在の販売は、冷蔵物流網が整備されているコンビニエンスストアやスーパーが主体になっているが、4月に「一番搾り 無濾過〈生〉」を発売以降は飲食店からの引き合いは強い。「コンビニで購入して店舗で出している飲食店もある」(三宅占二キリンビール常務執行役員)ほどだった。
 4月のキリンのチルドビール販売数量は、「一番搾り 無濾過〈生〉」の発売の相乗効果で4種合計で前年同月の5倍で推移しているという。

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