鉄鋼世界最大手の蘭ミタル・スチールと、同社に敵対的買収を仕掛けられている同2位、アルセロール(ルクセンブルク)の攻防が大詰めを迎えた。アルセロールは5月下旬、買収阻止に向け、同12位の露セベルスタリと合併することで合意。対抗策が注目されていたが、ミタルはアルセロールの株主に、セベルスタリとの合併に反対するよう呼びかける新聞広告を欧州主要紙に掲載するなど、最後の巻き返しに打って出た。
≪欧州各紙に広告≫
ミタルは7、8日付の英紙フィナンシャル・タイムズ、スペイン紙、エル・パイス、仏紙レゼコーなど欧州主要紙にアルセロールの株主向けの全面広告を出した。広告には「あなたたちにも意見を言う権利がある」とのメッセージ付きで、猿ぐつわをつけられたアルセロールの株主の漫画を描いた。
広告は、アルセロールとセベルスタリの合併承認手続きが不公正だと訴えたものだ。合併は、28日にルクセンブルクで開かれるアルセロールの株主総会で承認される見通しだが、ミタル側は、その前に株主を対象に合併に対する賛否を問う投票を実施するよう求めている。
これに対し、アルセロールは投票を実施するためには、委任状を含め全株主の半数が投票を求めることが条件としている。しかし実現は困難だ。ミタルは「これはアンフェアなやり方。株主は2つの選択肢から決定する正当な権利をもつべき」として、自由に意見が言えない株主の姿を漫画にした。
ブルームバーグによると、アルセロールは「株主には発言権があると伝えている」として、「合併に反対する株主を阻止する策ではない」と反論している。
≪3分の2が支持≫
ただ、ブルームバーグによると、アルセロールの株主の3分の2がセベルスタリとの合併を支持しており、投票を求めているのは、残りの3分の1。投票が実現したとしても、ミタルが現在の形勢を挽回(ばんかい)するのは容易ではない。
ミタルは9日、アルセロールに提案している企業買収問題について、同社との話し合いを開始したことを明らかにした。1月末の提案後、初の両社による会合となる。
会談の詳細は明らかにしていないが、ミタルのマレー・ムクヘルジー最高業務執行責任者は会談後、ロイター通信に「われわれの方が(セベルスタリより)グローバルで、バランスがとれている」と指摘した。同様の主張をアルセロールの株主に行い、合併反対派を増やす戦略とみられる。
ただ、アルセロールは、ミタル支配による従業員削減を恐れる仏、ルクセンブルク政府の支持も得ており、ミタルはこの包囲網も崩さなくてはならない。ミタルにとって残された時間はあまりにも少ない。