WSJ-中国移動通信のミリコム買収計画、合意目前で頓挫

中国国有の中国移動通信集団によるルクセンブルクの携帯電話サービス会社ミリコム・インターナショナル・セルラー(Nasdaq:MICC)の買収計画が合意を目前に頓挫した。実現していれば、中国企業による外国企業買収では過去最大規模となるはずだった。

両社が交渉を打ち切ったのは、53億ドルで中国移動に身売りすると発表するためにミリコム幹部らが北京に向けて出発する予定時刻のわずか数時間前だった。

ミリコムは3日、声明を発表。「ある買い手候補との長時間の交渉とデューディリジェンス(資産の適正評価)を行ったきたが、現在の好調な業績を勘案すると、相応の魅力を持つ拘束力のある提案をこの買い手が許容できる期限内に提示する状況にはないとの結論に達した」とし、会社売却をめぐるすべての交渉を打ち切ることを決めたとした。

両社は5月から独占交渉を進めていた。投資銀行関係者らは、この突然の交渉打ち切りが今後の中国企業の絡む取引に多大な影響を及ぼす可能性があるとみる。身売り側が中国企業の冗長な官僚的手続きや取引成立までの交渉遂行能力に警戒感を抱くと予想されるからだ。

ナスダックに上場しているミリコム株の3日終値は前営業日比12.10ドル(26.63%)安の33.33ドル。この日、米市場は「独立記念日」の休日を翌日に控えて米東部時間午後1時までの短縮取引となった。

両社に近い関係者らは、デューディリジェンスが予想よりかなり長引いたと指摘。一因として、ミリコムが事業展開している国々の中には中国と国交のない国もあることを挙げた。国有である中国移動が買収のため幾重にもわたって当局の認可を得なければならなかったことも交渉を長引かせた。

ミリコム幹部らは、5日に合意発表するため、3日に北京に出発する予定だった。合意が成立していれば、有力な中国国有企業が世界中の新興市場へのアクセスを直ちに得ることにつながっていた。また、中国移動と取引関係にある多くのサプライヤーの事業機会も拡大していたとみられる。

ミリコムはアフリカ、アジア、中南米の16カ国で携帯電話事業を展開している。サービス加入者数は約1000万人。

事情に詳しい関係者によると、中国移動は2日の取締役会を受け、土壇場で買収額に対する懸念を表明していた。これに対し、ここ数カ月間で力強い事業成長を果たしていたミリコムは、交渉が物別れに終わったと発表した。

ミリコムの株式を40%近く保有するスウェーデンの投資会社「インベストメントAB Kinnevik」は「身売りに関するすべての交渉を打ち切るとしたミリコム取締役会の判断を支持する」とした。

中国移動は他の国有企業と同様、こうした大掛かりな買収を実行する際、当局の反応を考慮する必要があった。交渉に詳しい関係者らは「国有企業とリスク負担という問題があった」と述べた。

中国国有企業は国務院の国有資産監督管理委員会の支配下にある。中国移動は、通信セクターを管轄する情報産業省のほか、ドル建ての支払いのため国家外為管理局の認可も取得する必要があった。事情筋は、こうした大規模買収案件について関係当局すべての支持を得るのは難しい、との見方を示した。

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