米ネット競売大手のイーベイ(Nasdaq:EBAY)は6日、電子決済サービス部門ペイパルのジェフ・ジョーダン社長(47)が今年秋に退任する予定であることを発表した。有力幹部をさらに1人失うことになる。
ジョーダン氏の退任は上級幹部の入れ替えも伴った。発表を受け、イーベイの株価は6日のナスダック市場で5%強下落し、2003年以来の最低水準で取引を終了した。ジョーダン氏の辞任表明により同社からの「頭脳流出」の懸念が強まった。同氏は一部でメグ・ホイットマン最高経営責任者(CEO)の後継者と目されていた。
5月にはメイナード・ウェブ最高執行責任者(COO、50)が8月に退任する意向を明らかにしている。また、製品担当上級副社長を務めたリン・リーディー氏、地域マネジャーのギル・ペンキーナ氏、上級副社長のマイケル・ディアリング氏なども最近、同社を離れている。
イーベイ株の6日終値は前日比1.51ドル(5.32%)安の26.85ドル。年初来では37%強下落している。ウォール街のアナリストの間では、社員の多くが保有するストックオプション(自社株購入権)の価値が減少し続けているため、退職者がさらに出るとの警戒感が強まった、と指摘する声もある。
ジョーダン氏は1999年にイーベイ入りし、同社の競売事業とペイパル部門の運営にあたった。同氏はインタビューで、イーベイでの経験は「素晴らしかった」としたものの、家族との時間やマウンテンバイクに費やす時間を増やしたい、と語った。具体的な退社時期は明らかにしなかった。同氏の後任には傘下のインターネット電話(IP電話)サービス会社スカイプ・テクノロジーズのラジブ・ダッタ社長が就く予定。
ジョーダン氏の辞任は、インターネット事業で成功を収めた初期の企業群の1つであるイーベイが、とりわけ大きな変動を経ている時期と重なる。ありとあらゆる品物を扱うネットオークション事業が成熟し、同社は今後の収益成長をいかに促進するかという課題に直面している。米インターネット検索大手グーグル(Nasdaq:GOOG)を中心として台頭してきた新しいライバルがイーベイの領域を侵食し始めている。グーグルは最近「チェックアウト」という新しい電子決済サービスを立ち上げた。これがペイパルと競合すると考える向きは多い。イーベイは6日、イーベイサイトの出品者にはチェックアウトの利用を認めない方針を確認した。
パシフィック・グロース・エクイティーズのアナリスト、デレク・ブラウン氏は「ジェフは社内外でたいへん信望の厚い人物だ」と語った。ペイパルは「イーベイの成長をけん引する事業の1つと見られてきた。(引き続きそうあり続けるかどうかという)明白な疑問を(同社長の退任は)投げ掛けるだろう」と指摘した。
さらに、後継者問題も浮上する。ホイットマンCEO(49)は1998年に同職に就いたが、過去に、CEOは10年以上続けるものではないと述べている。同CEOは6日のインタビューで「イーベイを去る予定はない」と語った。また、頭脳流出が起こっているのではなく、大企業に一定の退職者が出るのは自然なことだ、との考えを示した。
ホイットマンCEOは昨年、経営コンサルティング会社ブレイン&カンパニーでワールドワイドマネジングディレクターを務めたジョン・ドナフー氏を引き抜いた。同氏は現在、上級幹部として競売とマーケットプレース部門の運営を手掛けており、ここ数カ月で存在感を高めている。
イーベイの元最高財務責任者(CFO)で現在、スカイプ社長を務めるダッタ氏は、ペイパル部門を率いるため、数カ月後にはスカイプの本社のあるロンドンからサンノゼに戻る予定だと述べた。