【中国】“世界の最先端” 核融合発電  中国科学院プラズマ物理研

来月中旬に放電実験
 中国最大の国家科学研究機関である中国科学院は来月中旬に、安徽省合肥に建設した核融合実験装置で初の放電実験を行う見通しとなった。核融合発電の実用化に向けた重要実験で、中国は核融合技術を将来的なエネルギー問題の抜本的解決策と位置づけている。核融合研究では5月、日中韓も含む6カ国と欧州連合(EU)が国際実験炉のための協定案に署名したが、同科学院では、今回の放電実験が成功すれば、中国が核融合研究で世界の最先端を走ることになると話している。
 ≪初の全超電導型≫
 中国科学院プラズマ物理研究所の李建剛所長が国営新華社通信に語ったところによると、放電実験を行うのは合肥地区に設置した全超電導トカマク型の核融合実験装置「EAST」。5000万~1億度の超高温を低温超電導による磁力で閉じ込め、水素が原子核と電子に分離するプラズマ状態を1000秒にわたって作り出す中国初の放電実験を行う計画という。
 李所長は、「放電実験が成功すれば、世界で初めて実際に運転される全超電導非円形トカマク核融合実験装置となり、今後10年間は(中国が)世界の先端水準を維持するだろう」と話し、放電実験の意義を強調した。華僑向け通信社の中国新聞社によると、放電実験は8月中旬に行われる。
 経済成長を背景にエネルギー需要が急拡大している中国は、石炭や石油など火力発電所の建設のほか、原子力発電所の計画も相次いでいる。しかし、国内の炭鉱や油田が減産に向かう中で、原油やウランなど発電燃料の海外への依存度を下げる必要があるとして、中国では水素を使う核融合の実用化を急いでいる。
 中国は1994年に最初の超電導トカマク実験装置「HT7」を完成、ロシア、フランス、日本に続く世界4番目の同実験装置保有国となった。その後、1億5600万元(約21億1700万円)の予算をつけて、2003年からトカマク型実験装置「EAST」の建設を始めていた。この実験装置は今年2月までに完成。その後は、超電導状態を作り出す温度低下実験や通電実験を繰り返してきた。
 ≪国際研究も主導≫
 一方、中国は5月24日にブリュッセルで、核融合発電を多国間で共同研究する国際熱核融合実験炉(ITER)の計画実施のための協定案に署名した。ITERには日本や韓国、米国、インドとEUが参加。年内にも正式調印し、総事業費100億ユーロ(約1兆4700億円)の核融合プロジェクトがスタートする。
 同科学院プラズマ物理研究所はITERにおける中国の推進団体で、李所長は、「ITERの核心部分も全超電導非円形トカマク型技術で、実験装置『EAST』は工学面でも物理学面でもITERに研究成果を提供できる」と述べ、国際共同研究で中国が主導的立場を取るとの自負を強調しているが、来月行う放電実験の詳細については明らかになっていない。
 トカマク型実験装置では、日本原子力研究開発機構(旧日本原子力研究所)が茨城県に設置した核融合エネルギーを取り出すための研究を行う臨界プラズマ試験装置「JT-60」で85年から20年以上、研究を続けている。同開発機構では今年5月、プラズマをITERで必要とされる高閉じ込め、高圧力の条件で世界最長の28秒間維持したと発表している。
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【用語解説】核融合
 元素の原子核どうしが融合し別の元素になる反応。元素の種類によって融合時に大きなエネルギーが発生する。太陽など恒星がエネルギーを生み出す現象の原理で、この反応を発電に応用するのが核融合発電。核融合反応を起こすための1億度程度の高温をどのように起こして封じ込めるかが技術面での課題。高レベル放射線廃棄物を出さないクリーンな発電とされる。原子力発電はプルトニウムの核分裂を利用している。

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