ラップ口座 日興が急減速 新型投信ヒットで需要分散

富裕層向けの資産運用サービスとして、昨年から主要証券会社が軒並み順調に預かり残高を拡大してきた「ラップ口座」の契約ペースに、各社間で勢いの違いがみえ始めた。契約実績を開示している主要証券3社の6月末の資産残高は、1000億円の大台に乗せた新光証券や実績トップの大和証券がともに、3月末比で100億円単位の堅調な上積みとなった一方、日興コーディアル証券は、3月末比で85億円増の約1630億円にとどまった。日興は、昨年12月から今年3月までに594億円を上積みしており、新規契約が急減速した形だ。
 日興の急減速の背景には、自社の別の投資運用商品に営業戦力と顧客の需要が分散した影響がある。
 同社は、国内外の株式や債券、不動産のほか、ヘッジファンドなども投資対象に加えた多分散型投資信託の新商品「ベストナイン(通称)」を投入。この資産残高が、7月までの約3カ月で5500億円に急拡大している。
 ただ、投資対象をさまざまな金融商品に分散し安定した運用益を確保する点で、ラップ口座と「ベストナイン」は商品の類似性が高い。加えて、業界最低の1000万円としているラップ口座の最低契約額設定が、顧客の投資負担の面でも投資信託との差異を小さくしている。
 このため、これまではラップ口座が受け皿となっていた顧客の資産運用ニーズの相当数が、顧客に売りやすい「ベストナイン」に流れたもようだ。トータルの顧客資産獲得では順調といえるが、業務の効率性では課題を抱えた。
 証券市場では、ラップ口座への新規参入が相次ぐ一方、「ベストナイン」のような多分散型投資信託の商品化・高度化も進んでおり、今後は他の証券会社も日興と同じ課題に直面する可能性がありそうだ。

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