【中国】人民銀、金融引き締め 為替にも波及 過熱経済防止に躍起

中国人民銀行(中央銀行)は今月21日、今年2度目の預金準備率(金融機関が人民銀に預け入れる資金の割合)の引き上げを行った。18日に上期(1~6月)の国内総生産(GDP)成長率が10・9%と政府目標を大幅に上回る結果が出た3日後に、すばやく金融引き締め策を実施したことは、投資中心の過熱経済の防止に、人民銀が躍起になっていることを物語っている。
 米紙、ウォールストリート・ジャーナル(電子版)によると、GDPが急速に拡大するなか、人民銀が預金準備率の引き上げに踏み切ったことは、国内の金融機関から過剰な資金を回収し、高水準で推移している固定資産投資(公共投資と企業設備投資)がこれ以上増加しないよう予防的措置を具体的に講じたものと受け止められている。
 市中を流通する人民元の通貨供給量の縮小によって、対米ドル為替レートが多少上昇することも容認する構えをみせており、過熱経済の沈静化を最優先したあらわれとみられる。
 ≪過去最高の水準≫
 人民銀がもう一段の引き締め策に出ることは予想されていたが、5週間に2度、預金準備率を引き上げたことは、中国政府がマクロ経済調整で、まず金融政策から過熱経済の冷却化に着手していく方針でいることを示している。
 これと同時に、昨年7月に管理変動相場制に移行した人民元の為替レートは24日、1ドル=7・9845元となり、切り上げ以来、過去最高の水準を記録した。
 中国政府は国内の商業銀行などに対外投資の制限をより緩和する政策を進め、中国国内に滞留した巨額の資金を海外に還流させることで、過剰流動性の発生の防止を図るもようだ。
 中国が抱える世界一の外貨保有高は、資金のだぶつきを招く両刃の剣でもあり、旺盛な輸出などで稼いだ外貨を人民元に交換することで、巨額の資金が中国国内に蓄積され、通貨供給量の増加、過剰投資、さらにはインフレ圧力の要因になることが警戒されている。
 中国国家統計局が18日、発表した今年4~6月のGDP成長率は11・3%で、四半期ベースでは過去10年で最高の伸び率となり、過熱経済の継続が鮮明となった。
 企業向け貸し出しが拡大し、投資がさらに熱を帯びれば、中国経済は需給バランスを大きく崩し、崩壊すると警告する声も出始めている。
 海外のエコノミストは、人民銀の一連の金融引き締め策は、行き過ぎた成長に歯止めをかけるために、果断な措置を講じたものだと評価。通貨政策で、人民元の為替レートが上昇し、輸出商品の米ドル建ての価格が上昇することも視野に入れてのことだと分析している。
 中国政府、人民銀は過熱経済を安定化させるためには、為替政策も調整を迫られることになったが、やむをえないと判断したようだ。
 昨年7月に2・1%の切り上げを行ってから、過去1年間の切り上げ幅は累計で1・4%にとどまっており、巨額の対中赤字を抱える米国政府は強い不満を示している。
 米大手銀行のアナリストは、現在の人民銀の政策が人民元の上昇につながることで、米中間の為替レートをめぐる緊張は一定の緩和を得ることができると予測している。
 中国政府は、国内、国際両面の不均衡の是正に本格的に取り組まなければならない時期に至ったことは間違いないようだ。

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