<地上デジタル放送>日本方式、ブラジルで海外初採用

日本方式の地上デジタル放送規格が6月末にブラジルで、海外として初めて採用されることが決まり、国内のテレビ、放送機器メーカーでは2億人の巨大市場でのビジネス機会の拡大に期待が高まっている。携帯電話では、世界標準規格を欧州に押さえられたことが海外進出の足かせになった過去があるだけに、経済産業省は「画期的な成功」と評価する。ただ、地デジも、多くの国で欧米方式に押さえられており、家電業界からは「取り組みが遅すぎた」との声も出ている。
 地デジの放送規格は現在、日米欧の3方式がある。薄型テレビやDVDレコーダーを販売するには、それぞれの方式に対応したチューナーや半導体を開発しなければならず、海外市場でテレビを売る日本メーカーには、開発コストや特許料支払いが負担となっていた。逆に日本方式が採用されたブラジルでは、海外メーカーが参入する際のハードルが上がり、日本勢が販売面で有利になる。
 ブラジルは「将来、薄型テレビで現在の日本並みの数百万台規模の市場に育つ」(大手メーカー)とみられている。ソニーは昨年10月に同国で液晶テレビ組み立てを開始。松下電器産業も世界5番目となるプラズマテレビ組み立て工場を今月から稼働させ、10年には同国でシェア40%を狙う。
 しかし、地デジの放送規格では、既にインドやロシア、オーストラリアが欧州方式を、メキシコや韓国が米国方式を採用した。残る有望市場はインドネシアなどに限られている。今回のブラジルとの交渉も、欧州が巻き返しを図り、先行していた日本が半導体の技術協力を打ち出すなどしてようやく採用にこぎつけた。経産省幹部は「欧州は戦略的に自前方式の国際標準化を進めるのがうまく、日本はまだまだ遅れている」と認める。
 90年代に第2世代の携帯電話で欧州方式が世界標準になった。それがノキア(フィンランド)が現在、世界で35%の圧倒的シェアをにぎる一方で、シャープや松下など日本の大手メーカーが1%台で低迷している要因と指摘されている。

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