紳士服チェーン2位のAOKIホールディングスが、九州の紳士服専門店チェーン、フタタに対し経営統合を提案した。8月下旬から約1カ月間、TOB(株式公開買い付け)を実施し、完全子会社化する考えだ。統合提案への回答期限は14日。TOBの買い付け価格は1株700円と、フタタの直近の価格400円を大きく上回る。
これに対し、フタタと資本・業務提携している業界4位のコナカは8日、「公開買い付けに応諾する意思はない」とのコメントを発表。AOKI、コナカの“フタタ争奪戦”が繰り広げられそうだ。
AOKIの中村憲侍専務は「あくまでフタタの返事を待つ。友好的にTOBするつもりなので話し合いを継続する」としているが、コナカの反対表明を受け、敵対的TOBに踏み切る可能性が高い。製紙業界で王子製紙が北越製紙との経営統合を目指しているのに続き、敵対的TOBによる再編が紳士服業界にも広がりそうだ。
業界トップの青山商事が全国47都道府県に出店しているのに対して、2位のAOKIは九州が空白地区だった。青山を追い上げるため九州に足場を確保したいというのが、AOKIがフタタに統合を提案した最大の理由だ。そして、この時期に申し入れたのは、「来年1月23日でフタタとコナカの提携契約が切れる」(中村専務)ためだ。
AOKIを動かしている背景には、紳士服チェーン業界が抱える構造問題がある。
2007年以降の団塊の世代の退職でスーツ需要が激減するのは必至だ。さらに、サラリーマンの「仕事着」がスーツから若い世代を中心にカジュアルなものに変わっている。
2着で3万円など安いスーツで業績を伸ばしてきた紳士服チェーンも「最近の中心価格帯は1着5万~6万円」(AOKI)となっている。ただ、高級品は百貨店や海外ブランドにかなわず、低価格品では、イオンが1着1万円スーツで男性衣料の売り上げを伸ばすなど、大手スーパーが紳士服チェーンを脅かしている。
こうした厳しい経営環境の中、規模拡大で“勝ち残り”を目指すAOKI、コナカにとって、手つかずだった九州は魅力的な市場となるだけに、フタタをめぐる争いは過熱しそうだ。