住宅ローン米最大手のカントリーワイド・ファイナンシャル(NYSE:CFC)の最高経営責任者(CEO)アンジェロ・モジロ氏は、この仕事に50年以上携わってきたことを常日頃自慢している。その彼が、住宅価格やローンについて短期的に弱気な見通しを、投資家に告げている。要警戒であろう。
「この仕事を53年やっていて、ソフトランディングは見たことがない」と、彼は先月の電話会議でアナリストに語った。
住宅市場が冷え込み、ローンの貸し手間で競争が激化するにつれて、カントリーワイドは衝撃を最小限にとどめるために、ブレーキを徐々に掛けつつある。カントリーワイドの住宅ローンの年間取扱高は、2000年の667億ドルから昨年は4910億ドルに増えたが、この急成長のあと、同社はローン貸し出しに一段と用心深くなっている。
一方で、住宅ローン米2位の銀行大手ウェルズ・ファーゴ(NYSE:WFC)は、貸し出しを抑える気配を見せていない。もし、現在のトレンドが今後2-3四半期続けば、ウェルズ・ファーゴは、2年前にカントリーワイドに譲り渡した住宅ローン米1位の座を奪い返すことになろう。
カントリーワイドの強気筋は、モジロ氏の警告を安心材料として受け止めている。収益を犠牲にしてまで、ローンの取扱高を追いかける必要はないというメッセージであるからだ。「住宅ローンに少し用心深くなるのは、まったく適切なことだ」と、マーク・パターソン氏(運用資産320億ドルのNWQインベストメント・マネジメントのマネジング・ディレクター)は言う。NWQは、カントリーワイドの株式4%以上を保有している。パターソン氏はさらに、「カントリーワイドは、好況時にも不況時にもうまく対応できることを、多くの景気循環期を通じて証明してきた」と付け加えている。
これに対して弱気筋は、カントリーワイドが住宅市場の減速に伴いコスト削減に苦労しているから慎重になったのだとして、投資家に用心を呼びかけている。いずれにせよ、モジロ氏の掛けた冷や水は、住宅市場が回復するまでには2-3ヶ月以上掛かるという警告として受け止めねばなるまい。
住宅価格は、多くの地域で頭打ちとなっており、一部ではじりじり下げている。モジロ氏は電話会議のなかで、「どこまで下がるかは分からないが、基調は下向きだ」と語った。
これは、住宅ローンが減って、デフォールトが増えることを意味する。住宅ローン新規契約は今年、合計で2兆4000億-2兆8000億ドルとなり、2005年の2兆9000億ドルから減少するとカントリーワイドは推定している。そして、モジロ氏によれば、2007年もたぶん減るだろうという。
モジロ氏は67才だが、14才のときマンハッタンのある住宅ローン会社でメッセンジャー・ボーイになって以来、あらゆる好不況の波を乗り越えて成功した。そして、1969年にパートナーと共にカントリーワイドを設立した。それ以来、彼は投資家の間に多数の支持者を得た。彼によれば、米国の住宅業界と住宅ローンの長期的将来は引き続き「極めて順調だ」が、短期的には荒波が立ってきたという。
カントリーワイドの株価は、ニューヨーク証券取引所で昨日午後4時に36.91ドルで引けており、年初来8%高となっているが、5月の52週高値42.46ドルからは下げている。ウェルズ・ファーゴの株価はニューヨーク証券取引所で昨日の引けが72.38ドルとなっており、年初来15%高である。両社は、純粋の同業者ではない。ウェルズ・ファーゴは広範囲な業務を行う銀行であり、収益のおよそ5分の1を住宅ローンで上げている。カントリーワイドは、急速に成長している銀行子会社を持っているが、ほとんどすべて住宅ローン事業に依存している。
カントリーワイドの株価は、向う4四半期の1株利益予想の8.3倍で取引されているが、ウェルズ・ファーゴは14.4倍となっている。これは主として、住宅ローン事業に対するウォール街の評価が低いという傾向を反映するものである。カントリーワイドの時価総額は224億2000万ドル、一方でウェルズ・ファーゴの時価総額は1210億4000万ドルとなっている。