WSJ-ピクサー、一部のストックオプション行使価格を年間最安値に
米ウォルト・ディズニー(NYSE:DIS)傘下のピクサー・アニメーション・スタジオの複数の幹部が、1997、98、2000、03年に、行使価格が各年の最安値に設定されたストックオプション(自社株購入権)を受け取っていたことが明らかになった。99年に付与したストックオプションは、その年の3番目に安い終値が行使価格になっていた。偶然こうした結果になる確率は非常に低い。
これらのストックオプションについて、付与された人の利益を増やすために、付与日を実際よりさかのぼるバックデートなどの操作をしていたのかという疑問が浮上している。
また、米ケーブルテレビ(CATV)6位のケーブルビジョン・システムズ(NYSE:CVC)は8日、ストックオプション付与について調査しているため、4-6月期決算の発表を延期するとともに、1997年以降の年次報告書は信頼できないと警告した。
同日発表のプレスリリースで、「他社でストックオプション問題が続発したことを受け自主的に過去のストックオプションや株式評価益受益権(SAR)を調査したところ、1997-2002年の付与日が実際の付与日と異なっており、行使価格が付与日の終値ではなかったことが分かった」としている。
同社は過去の決算の修正規模はまだ分からないとしている。調査対象のストックオプションが、ジェームズ・ドーラン社長兼最高経営責任者(CEO)やほかの幹部に付与されたものも含んでいるかどうかははっきりしない。
証券取引委員会(SEC)への提出書類によると、疑問のある期間に、ドーラン氏と数人の幹部は合わせて数十万株のストックオプションを付与され、株価はその後急上昇した。
SAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)機器大手の米ブロケード・コミュニケーションズ・システムズ(Nasdaq:BRCD)の元幹部2人は、バックデート行為に関連して、証券詐欺の罪で刑事訴追されている。
ピクサーでは、過去の委任状説明書を調べた結果、同社の共同創業者でアップルコンピュータ(Nasdaq:AAPL)CEOであるスティーブ・ジョブズ氏はストックオプションを全く受け取っていないことが分かった。行使価格が安値に設定されているストックオプションを受け取ったのは、制作責任者で「トイ・ストーリー」の監督を務めたジョン・ラセター氏と、ピクサーの共同創業者でコンピューターグラフィックス(CG)アニメの先駆者であるエドウィン・キャットマル氏。
ピクサーの広報担当者、トム・サリス氏は「従業員の報酬についてはコメントしない」とした。ディズニーの広報担当者は「当社が買収する前にピクサーが付与したストックオプションについてコメントするのは不適切だ」と述べた。ジョブズ氏の広報担当者からはコメントを得られなかった。
ピクサーはSECへの提出書類で、幹部へのストックオプションは、付与日の「公正な市場価格」を行使価格に設定しているとした。これは通常、付与日またはその前日の終値を指す。
ピクサーの取締役会は、ストックオプション付与を担当する報酬委員会を設置したが、同委員会が開催されたことはなく、ジョブズ氏が会長を務める取締役会の全員が同委員会の役割を果たしていたという。広報担当のサリス氏はこれについてコメントを避けた。
1998年から2002年にかけて報酬委員を務めた1人に、玩具大手マテル(NYSE:MAT)の元CEOジル・バラッド氏がいる。同氏は97-99年にマイクロソフト(Nasdaq:MSFT)取締役会の報酬委員も務めていた。同社は99年まで、行使価格を月間の最安値に設定するという、一種のバックデートの手法を用いていた。同社はその年のうちにストックオプション付与の方法を変更するとともに、関連する特別費用を追加計上した。バラッド氏のコメントは得られなかった。
ピクサーのもう1人の取締役だった弁護士のラリー・ソンシニ氏は、ブロケードの取締役も務めたほか、長年アップルとジョブズ氏のアドバイザーを務めている。