WSJ-ノキア、米ラウドアイ買収でデジタル音楽配信に進出

携帯電話機メーカー最大手であるフィンランドのノキア(NYSE:NOK)は8日、米デジタル音楽配信会社ラウドアイ(Nasdaq:LOUD)を6000万ドルで買収することで合意したと発表した。ノキアはコンテンツ(情報の内容)配信という新たな分野に進出することになる。

ノキアはこの買収を、音楽再生、テレビ番組視聴、ゲームが可能な、高性能で利益率の高い携帯電話機の販売拡大につなげたい考え。またノキアは最近、携帯電話向けビデオゲーム配信サービスを開始する計画を明らかにしており、業界関係者は、ノキアは次にこれも実現させるとみている。

今回の買収は、オリペッカ・カラスブオ最高経営責任者(CEO)が大胆な戦略転換を目指していることを示している。同氏の6月のCEO就任から間もなく、ノキアは同社の無線通信ネットワーク機器部門を独シーメンス(NYSE:SI)の同部門と統合させる方針を明らかにした。だがコンテンツ配信事業への進出は、ノキアの主要顧客企業である通信サービス各社との摩擦を生む恐れがある。通信サービス各社は携帯電話向けサービスを増やすことによって売り上げ増を目指しているためだ。

主要レコード各社との取引があるラウドアイは、160万曲を超えるデジタル音楽をそろえる業界大手。自社ブランドのオンライン音楽ストアを開設したい企業にデジタル音楽を配信するサービスをしている。顧客としては、マイクロソフト(Nasdaq:MSFT)のMSN部門、コカ・コーラ(NYSE:KO)、スペインの通信大手テレフォニカ(NYSE:TEF)傘下の携帯電話サービス会社である英O2などがある。

ノキアのマルチメディア電話端末部門責任者、アンシ・バンヨキ氏によると、同社の顧客である多くの通信サービス会社は、自社のネットワークの通信量を増やすために、ノキアがデジタル音楽配信サービスを始めることを望んでいた。同氏は、ノキアが自社ブランドのサービスを計画しているかどうかについては言及を避けたが、可能性を排除しなかった。ビデオ配信事業に進出するかどうかについては「そうしたプラットホームは、あらゆるデジタル素材の配信に有益だ」と述べた。

ノキアはラウドアイと2005年から協力関係にある。同社を買収することにより、ノキアの携帯電話機への音楽のダウンロード手順を簡素化でき、パソコンと携帯電話機の間での音楽のやり取りも簡単になる。また、楽曲再生リストの管理など、新たな関連サービスを迅速に始めることができるようになる。さらに、ノキアはアップルコンピュータ(Nasdaq:AAPL)とそのオンライン音楽ストア「iTunes(アイチューンズ)」に直接対抗することになる。

ノキアがコンテンツ事業に乗り出すのは今回が初めてではない。1990年代後半、個人がゲームや着信音をダウンロードできるサービス「クラブノキア」を立ち上げた。だが携帯電話サービス各社は、自社のサービスとの食い合いになることを懸念したため、ノキアは2003年、このサービスの規模を縮小し、結局中止した。当時は顧客も携帯電話機も、こうしたサービスへの準備ができていなかったためだとしている。英調査会社コリンズ・コンサルティングのアナリスト、ベン・ウッド氏は「ノキアは、ラウドアイの技術を利用して自社ブランドのサービスを始めれば、顧客である通信サービス会社の一部との関係を再び悪化させる恐れがある」との見方を示した。

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