トヨタ自動車グループの豊田合成は、ベトナムのエアバッグ用バッグ工場を世界規模の供給基地に育成する。年内にも増産投資を実行し、来年からチェコと南アフリカ共和国のエアバッグ工場に供給。中期的には中国への供給も検討する。同バッグの量産効果で重要部品であるエアバッグシステムの製造コストを削減、トヨタ自動車の世界戦略を後押しする。
チェコと南アに同バッグを供給するのは、昨年10月に操業を開始したベトナムのTGハイフォン社(TGHP、ハイフォン市)。来年1月からチェコ、同7月から南アのエアバッグシステムの新工場向けにそれぞれ供給する。
バッグの種類は、シート部分および側面部分、ハンドルの下部分にそれぞれ収納される「サイド」「カーテン」「ニー」の3タイプ。また、時期は未定だが、中国のエアバッグ製造拠点にも供給することを検討している。
現在、TGHPで生産したバッグは、全量を日本と北米の3工場に供給している。豊田合成ではバッグを日本やタイ、中国でも生産しているが、チェコや南アなど今後立ち上がるエアバッグ関連の新工場については量産効果によるコスト低減などを目的に、ベトナムからの供給を決めた。
今回のチェコ、南アへの供給をにらみ、TGHPでは約6億円を投じ、生産設備を増強。エアバッグ用バッグの世界供給基地としての生産体制を整えることで、2008年度には今年度見込み比3・1倍の約110億円の売上高を計画している。
家電業界などでは主要部品を1拠点で集中生産し、国内外の工場に供給するケースは少なくない。しかし、自動車業界では自動車メーカーの海外進出にあわせ、それぞれの地域で部品も生産するのが一般的なだけに、今回の豊田合成の世界規模での分業生産への取り組みは注目を集めそうだ。
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【用語解説】エアバッグシステム
自動車が衝突した際に、ハンドルや助手席ダッシュボードなどに格納されている合成繊維製のバッグ(袋)をガスで瞬時に膨らませ、そのクッション作用で乗員を保護する装置。ハイテク機構を要する重要部品。実用化された1980~90年代は高級車向けが主体だったが、安全意識の高まりによって急速に普及が進み、現在はほとんどの乗用車に搭載されている。バッグはガスによる急激な膨張や、乗員を受け止める際の衝撃にも破れない強度とソフト感が要求され、現在は樹脂系毛材で最も一般的な66ナイロンに耐熱コーティングを施した素材が主流。