日銀が、ゼロ金利政策を解除してからほぼ1カ月が経過した。この間、一部で懸念された急激な株安や円高は今のところ起きていない。日銀は緩和的な金融政策を当面維持する見通しだが、追加利上げのタイミング次第では、消費者にも大きな影響を及ぼしそうだ。
「金融市場の変化は総じて安定している。日銀の考え方が市場に確実に浸透している証左だ」。11日の会見で福井俊彦総裁はこう胸を張った。実際、目立った混乱が起きていないのは、「市場がすでにゼロ金利解除を織り込んでいた」(三菱総合研究所の後藤康雄主席研究員)ことが大きい。
ただ、今後追加利上げが実施されれば「徐々に影響が出てくる」(同)可能性がある。短期金利の上昇を受けて、すでに大手銀行は貸出金利の引き上げに動き出している。三菱東京UFJ銀行など大手行は今月中に、中小企業向け融資などの基準となる短期プライムレート(最優遇貸出金利)を6年ぶりに年0・25%引き上げる。
住宅ローン金利も、短期の固定型を中心に引き上げられている。三菱東京UFJ銀は、8月から2年固定の金利を2・35%から2・45%に引き上げた。変動金利型住宅ローンについても、今後引き上げられる見通しで、家計への影響もじわりと出だした。また、これまで個人の自宅に保管していた“タンス預金”が、金利上昇に対応する金融商品にシフトすることも予想されている。