【中国】外資の対中投資減速 金融引き締め策など影響

外資企業による対中投資が減速している。中国商務省のまとめた統計によると、香港や台湾も含む外資企業による今年1~6月の対中投資額(実行ベース)は284億2800万米ドル(約3兆3261億円)で、前年同期に比べ0・47%のマイナスとなった。製品や資材の供給過剰に対する警戒感が広がっているものとみられ、過熱経済を懸念する中国政府の金融引き締め策も影響しているもようだ。2006年通年の投資額でも前年を下回る可能性がある。
 ■香港がトップに
 商務省によると、1~6月の対中投資で最も大きかったのは香港の88億3300万ドル。そして英領バージン諸島が52億3200万ドル、日本の22億4400万ドルがベスト3位に。さらに韓国の16億8000万ドル、米国の11億9300万ドル、ドイツの11億6000万ドル。
 7位以下には台湾の10億3400万ドル、シンガポールの9億1200万ドル、英領ケイマン諸島が8億8300万ドル、サモアが7億4500万ドルと続いている。このうちカリブ海に位置する英領バージン諸島とケイマン諸島、太平洋の島国、サモアは租税回避地で、主に台湾が対中投資の経由地として利用している。
 ベスト10の国と地域で同時期の対中投資全体の84・13%を占めた。投資額だけでなく、件数も1万9750件と前年同期比で6・89%減った。
 ■しぼむマインド
 こうしたマイナス傾向について中国国家統計局では、(1)環境保全や土地利用に関する規制の強化が外資に対する投資コストを引き上げさせた(2)中国の民間企業との競合が激しくなった(3)外資が中国以外の東南アジアなどへの投資も増やしている(4)比較する対象の前年の水準が高すぎた--の4点を原因として分析している。一方で7~12月については前年水準を維持すると見込んでいる。
 さらに、中国当局が不動産投資のバブル化に対する警戒から金融機関の融資条件を厳格にするなどマクロ経済調整を強化していることが、外資企業の対中投資拡大にブレーキをかけ始めているとの見方もある。鉄鋼など中国で供給過剰になりつつある産業分野での投資が減退しているほか、繊維製品など欧米と貿易摩擦が起きている製品分野の生産投資も踊り場にある。さらには免税措置など外資優遇策の見直しが伝えられ、投資マインドはしぼみ始めている。
 外資企業の対中投資実績では、1995年から翌96年にかけて行った台湾海峡に向けての中国の弾道ミサイルを試射をきっかけに下降したが、2000年以降に再び上昇気流に乗っていた。外資企業による対中投資と対外輸出が中国の経済成長の最大の要因であるだけに、外資の投資マインド冷え込みに今後どう対処するかが課題になる。
 ■台湾は過去最高
 しかし、こうした状況ながら台湾は対中投資を大幅に増やしている。台湾の経済省が1~6月に承認した対中投資額は35億5627万ドルで、前年同期に比べ35・2%もの増大だった。台湾紙、聯合報によると、この対中投資承認額は1~6月期として過去最大。さらに経済省では、今年通年の対中投資承認額が、過去最高となった2004年の69億4000万ドルを上回ると予測している。
 台湾の最大野党、中国国民党が中国共産党との経済強調路線を昨年から推進し始め、台湾企業が中国でのチャンス獲得に急いでいるためだ。1~6月の台湾企業による海外投資(承認ベース)全体に占める中国向けの割合は66・5%。対外投資の3分の2までが中国に向かっている計算だ。

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