景気回復と団塊世代の定年退職を機に、シニアの富裕層にターゲットにしたツアーが人気だ。旅行者数自体が増加しつつあるうえ、ツアー料金自体の単価も高いため、旅行会社にとってはうま味がある。活気づく旅行市場の牽引(けんいん)役として期待が高まっている。
日本旅行が15日発表した2006年度下期(06年10月~07年3月)の旅行商品の目玉の一つが、「4つのカーニバルをめぐる旅」(07年2月16日出発)というツアーだ。「ベニスのカーニバル」など、イタリアとフランスで行われる4つの祭りを満喫できる。
移動にビジネスクラスを使う11日間の同ツアーは、料金が79万9000円。日本旅行では、「好奇心を満たすシニアの富裕層向けツアーをここ1、2年で増やしており、好評を得ている」(広報室)と説明する。
JTBがシニア層を取り込むために03年開設した高品位旅行専門店「ロイヤルロード銀座」(東京・銀座)。ここで販売しているシニア向け旅行商品「旅彩彩」も売れている。
「航空機の座席でビジネスクラスの利用が急増している。今年度は27%以上となる見通し。この傾向は今後も続くだろう」(JTB広報室)
JTBによると、旅彩彩のビジネスクラス利用は、03年度には23%。これが、05年度には26%へと増加した。
旅行先も、「カンボジアのアンコールワットを訪ねるものや、ロシアのサンクトペテルブルクに帝政ロシア時代の建造物を訪ねるものなど、これまでとは一味違う本物志向が受け入れられつつある」(ANAセールス)という。
ビジネスクラス利用の旅行は、当然だがエコノミークラスの旅行より高価だ。単純に、旅行代金も1・5~2倍になる。「実数はもとより、ビジネスクラス利用を前面に押し出すツアー自体が急激に増えてきた」(近畿日本ツーリスト法務・広報部)という旅行の高級化が単価をも押し上げつつある。
しかし、活性化し始めた旅行市場が、40歳代の女性と50歳代以上のシニアの双肩にかかっていることへの不安もある。
課題は20代の旅行需要をどう引き上げるか。1990年代前半までは海外旅行のドル箱であり、「将来の旅行産業にとっては極めて重要な顧客層」(JTB関係者)であるだけに、シニア層向けツアーが活況の傍らで、20歳代の動向に旅行各社の期待と不安が交錯している。