沖縄県を代表する蒸留酒「泡盛」に逆風が吹いている。財務省が、同県内で生産・消費される酒類にかかる酒税の軽減措置を、07年5月の期限切れとともに廃止する方向で検討に入ったためだ。「本土復帰(72年)時の税率急上昇を避ける」目的が果たされたとの判断。これに対し、県や県内の酒造業界は「地元メーカーへの打撃が大きい」として延長を要求。政府・与党に陳情攻勢を強めており、今年末に決まる07年度の税制改正で攻防が繰り広げられそうだ。
軽減措置は、復帰前の沖縄の酒税率が本土より低かったことから、酒造メーカーの経営や消費者への影響を和らげるため、復帰と同時に導入された。本来の税率に比べ、泡盛は35%(アルコール分30度の1升瓶当たり約187円)、ビールは20%(350ミリリットル缶で約15円)軽減されている。5年間の時限措置だが、地元の要望で6回にわたり延長、軽減額は05年度までの累計で約910億円に上っている。
ただ、02年度税制改正論議で、自民党税制調査会の山中貞則最高顧問(故人)が「沖縄だけの優遇は今回限り」と5年後の撤廃を容認。山中氏が取り持ったアサヒビールとオリオンビール(沖縄県浦添市)の業務提携(02年)や、ここ数年の沖縄ブームによる泡盛の出荷量急増も追い風となり、軽減撤廃の環境が整いつつあった。
ところが、昨年の出荷量は本土の芋焼酎ブームなどに押され4年ぶりに前年実績を割り込んだ。「軽減措置廃止で値上がりすると、九州の焼酎メーカーなどにシェアを奪われる」(沖縄県酒造組合連合会)として、地元県議らが7月下旬に上京、沖縄振興を担当する内閣府や自民党に継続を要請した。
県は、軽減措置が廃止された場合、泡盛メーカーの平均的な営業利益率は04年の12.3%から5.4%に悪化すると試算。これに対し財務省は、県内の中小製造業の平均(3%)より高いとして優遇は不要との立場だ。内閣府も「与党税調や財務省を納得させるだけの理由がないと、来年度税制改正要望に盛り込みにくい」と厳しい見方を示す。県側は、軽減幅の縮小なども視野に、延長への理解を取り付けたい考えだ。