米ネット競売大手イーベイ(Nasdaq:EBAY)の株価低迷にもかかわらず、ウォール街は同社のメグ・ホイットマン最高経営責任者(CEO)に「疑わしきは罰せず」の原則を適用する意向のようだ。一方、同社のサイトを利用している出品者らは、変化を望んでいる。
イーベイのサイトを通じて商品を販売している出品者らは最近、同社の抜本的改革と経営陣の入れ替えを要求している。出品者らは、同社の旗艦である競売サイトの低迷にとりわけ動揺している。取引が減少し、販売価格も低下しているという。
イーベイを利用したビデオゲーム販売暦の長いスティーブ・グロスバーグ氏は「同社の中核(オークション)事業のパフォーマンスは非常に苦戦している」と述べた。同氏は、商品売却までの出品回数について、2年前は2回だったが、現在では平均4回になった、と述べた。ホームケア・ガーデン用品を販売しているアンディー・モワリー氏は「イーベイには今、新しい指導者が必要とされている」と語った。
インターネット電話(IP電話)、クラシファイド出品、価格比較などの新市場・分野に進出したのを受け、イーベイの収益成長は鈍化しており、ホイットマンCEOと経営陣の一部に対して出品者が不満を表すようになった。4-6月期のイーベイのオークション関連の出品件数は前年同期比22%増加したものの、1-3月期比では横ばい。一方、収益性の低い定価販売の新サイトの出品件数の伸びがオークション関連を上回った。
シティグループ・グローバル・マーケッツのアナリスト、マーク・マヘーニー氏の推計によると、出品1件当たりのイーベイの収入は1.67ドルと、前年同期比10%低下した。同氏は、イーベイ株の投資判断を「バイ」としている。シティグループはイーベイ株を保有し、過去12カ月間に同社に投資銀行サービスを提供している。
イーベイの株価は過去20カ月間でほぼ54%下落。18日終値は、前日比0.42ドル(1.52%)安の27.25ドル。この株価に基づく時価総額は384億3000万ドルだ。
しかし、ホイットマンCEOに対する投資家心理は依然楽観的だ。イーベイ株を保有するマンダー・キャピタルのポートフォリオマネジャー、ケン・スミス氏は「経営陣の入れ替えが必要とは思わない」と語る。
パイパー・ジャフレーのアナリスト、サファ・ラシュチー氏は「(問題を)解決するのに最高のチームは、常に問題を把握しているチームだ。ホイットマンCEOは問題を理解している」とコメントした。同氏はイーベイ株を保有していない。同社株の投資判断は「マーケット・パフォーム」。パイパー・ジャフレーもイーベイ株を保有しておらず、同社との取引関係は最近ない。
イーベイの広報担当者は、出品者らが提起した課題の一部を認識している、と述べた。ハニ・ダーツィー広報担当者は「マーケットプレース事業は好調に伸びているが、改善余地がある」と語った。また、同社は定価出品サイトの手数料引き上げなど、競売マーケットプレース事業の「活性化」を狙った「積極策」をとる、とした。出品手数料の引き上げにより、一部の出品者は意欲を失う可能性もあるが、大半の出品者は競売を通じた商品の移動を加速させるとみられる。ダーツィー氏は、ホイットマンCEOをはじめとするイーベイ経営陣は、同社を率いるのにふさわしい、と付け加えた。
ウォール街のアナリストと出品者とのこうした意見の相違は何に起因するのだろうか。1つには、ウォール街はホイットマンCEOを支持するほか、ほとんど選択肢がないと考えている可能性がある。電子決済サービス部門「ペイパル」のジェフ・ジョーダン社長を含む、経験に富んだイーベイ最高幹部らの一部は最近、同社を離れることを明らかにしている。今年退任するジョーダン社長は、一部でホイットマンCEOの後継者候補と目されていたため、後継者問題も取りざたされている。
ホイットマンCEOがどのくらい現職にとどまるか、疑問視する声もある。昨年はウォルト・ディズニー(NYSE:DIS)への移籍観測も浮上した。同CEOは先に、どの企業のCEOも10年以上は務めるべきでない、と述べている。1998年3月にイーベイのトップに立ったホイットマンCEOは、10周年を迎えようとしている。
だが、同CEOはこうした観測の沈静化に努めているようだ。最近では「どこへ行くつもりもない」と語っている。マンダーのスミス氏は、イーベイが同氏に対し「少なくとも、もう数年は」ホイットマンCEOが続投すると示唆した、と述べた。
同社は他の方法でもウォール街を懐柔しようとしている。先月実施した決算に関する電話会見で、ホイットマンCEOは、懸念に真っ向から反論。「現在、当社の中核事業や(インターネット電話サービス部門の)スカイプを疑問視する声がある。だが、当社が期待に沿ったコミュニティー経験と業績の達成に向け、順調に進むのを見ることになるだろう」と語った。
同社は最近、ニューヨークとボストンで一連の投資家向け説明会を開催。また、初めて20億ドル規模の自社株買いプログラムを発表した。
ファーストハンド・キャピタル・マネジメントのケビン・ランディス最高投資責任者は、出品者が提起している懸念の大半は誇張にすぎない、とみる。同氏はイーベイ株を保有している。イーベイは「立て直しが必要な状況にあるわけではない。依然として非常に健全であり、成長を続けている黒字企業だ」と述べた。同氏は、イーベイの株価収益率(PER)が36倍と、アマゾン・ドット・コム(Nasdaq:AMZN)の39倍、ヤフー(Nasdaq:YHOO)の33倍と同水準だとコメント。ただ、イーベイの2007年の予想1株利益に基づくPERは20倍と、値ごろ感があると指摘した。これに対し、アマゾンは40倍、ヤフーは42倍だ。
イーベイの成長が続くと確信しているランディス氏は「成長が終わらない限り、割安だ」と述べた。